リンゴ可愛いや

そういえば子どもの頃

熱を出した時や

お腹を壊した時に

祖母や母がよく

リンゴのすりおろしを

食べさせてくれたっけ

あれは紅玉だったか


リンゴは紅玉が好き

酸っぱい方が好ましい


果物屋さんの店先で

たまに紅玉を見つけると

嬉しくなってしまう

あまり見なくなってしまったから


酸味が強いもの

ふぞろいなもの

それぞれ違うから

個性というのだろうに

最近はみんな一緒の顔に見える


紅玉を手にすると

つい歌いたくなってしまう

「リンゴ可愛いや、可愛いやリンゴ」


懐かしいこの甘酸っぱさ


鼻歌を口ずさんでいた

今はもういないひとたちと

おかっぱ少女のわたしが

瞼の裏に浮かんで

瞳を潤ませる

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