トラとウマ

どれだけ押し込めたつもりでも

ふと顔をだしてくる

消し去りたい場面は

沈めておくことはできても

その爪を深く心に突き立てたまま


悲しいとか辛いとかよりも

唖然として息が詰まった

遅れてやってきた

行き場のない怒りも

わたしを苦しめた


立場の違い

それぞれの思い

正義の在り所を

明らかにしたいわけじゃなくて

だけど、でも、それでも


人の剥き出しの悪意というものを

まざまざと見せつけられた、あの時

わたしはただ

いたたまれなくて

その醜さを見ていられなかった



トラとウマは今でも

思い出したように哭く


おさまらない吐き気に

未だ、のたうつ夜がある

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