自業自得の因果応報

第2話：結婚生活 ※胸クソ注意

DV（暴力表現）やモラハラ表現があります。

自衛お願いします。

───────────────

　マリアンヌ・ジュベルは、普通の伯爵令嬢だった。

　それなりに裕福で、優しい両親と真面目な兄と可愛い妹。

　領地も普通に栄えている、どこにでもいる伯爵位の貴族だった。

　学園で出会ったケヴィン・ジェルマン侯爵令息と２年間の交際期間を経て、婚約を結んだ。

　婚約期間は１年間で、将来の侯爵夫人としての教育を受けた。

　その後結婚し、ジェルマン侯爵家の所有しているコシェ伯爵位をケヴィンが継いだ。

　ジェルマン侯爵が爵位をケヴィンに譲るまでは、コシェ伯爵となる。

　マリアンヌの不幸が始まったのは、ジェルマン侯爵夫妻が領地を管理する為に自領へ戻ってしまってからだった。

　それまでタウンハウスでの主人はジェルマン侯爵であり、屋敷の管理は侯爵夫人が行っていた。

　それがケヴィンが仮とはいえ主人になり、マリアンヌが屋敷の管理をする事になったのだ。

　ジェルマン侯爵夫人に教わった通りに、マリアンヌは一切手抜きせず、真面目に仕事をしていた。

　しかし、同じようにしていても、ケヴィンはマリアンヌに文句を言うようになったのである。

　もしかしたら、今までは不満が有っても母親が相手なのもあり、言えなかったのかもしれない。

「食事を出すのが遅い！」

　出されたスープを、ケヴィンはマリアンヌへと皿ごと投げつけた。

「お前の管理が悪いからだ！」

　理不尽な暴力に、それでもマリアンヌは「申し訳ありません」と謝った。

　幸い痕は残らなかったが、マリアンヌは火傷で暫く治療を受けた。

　その後ケヴィンは、マリアンヌに一緒に食事をする事を許さず、自分の後ろに立たせた。

　前の皿が食べ終わるタイミングピッタリに次の料理が出て来ないと、ワインや水を掛けた。

　酷い時には、頬を打つ事もあった。

　マリアンヌは常に緊張状態を強いられ、体調を崩す事が多くなった。

　一度、ケヴィンの出迎えに間に合わなかった事があり、その時は体が飛ぶほどの力で蹴られた。

「俺が外で働いている間に家で楽しているくせに、迎えにも来ないとはお前は何様だ！」

　そう言って、倒れているマリアンヌを更に蹴ったのだ。

　執事や他の使用人が止めなければ、今頃マリアンヌは五体満足では無かったかもしれない。

　そんな扱いをするくせに、「世継ぎを産め」とマリアンヌが意識を失うまで毎晩のように抱いた。

　そのうちマリアンヌは食事を食べても吐くようになり、肋骨が浮くほどになった。

「みっともない体だ」そう言いながらも、ケヴィンはマリアンヌを思い遣（や）る事は無く、ただ奴隷のように扱った。

「このままでは奥様は死んでしまいます」

　執事がクビを覚悟で直訴し、やっと医師への受診が許可された。

　最初は男性医師だったが、正しい診断でも「色目を使って診断を重くしている」や「楽がしたいから誘惑した」などとあらぬ疑いが掛けられ、却（かえ）ってマリアンヌの立場を悪くした。

　そして女性医師に主治医が変更になったのだが、今度は「女の言う事は信用出来ない」と、医師自体の力量を疑う発言をしだした。

　それでもマリアンヌの事を考えて、そのまま女性医師が主治医を続けてくれていた。