第ニ部 女神セドナ
第21話 催淫の稀血
○
魔王城。
常に常闇に包まれ陽の光が入らない深淵の底。
ディミニッシュを交えた不協和音の聖歌もどきの音楽が、神を否定するように響き渡る。
その王城の最も奥。王の間に魔王は鎮座していた。
冥界の魔王サタンだ。身の丈3mはゆうにこえている。髪は白髪で長く、顔は痩せ細っているが、秘匿された魔力量は計り知れない。その圧倒的な力で、魔界を統べていた。
その王の膝の上で、邪女神アポカリプスが子猫のように甘えている。
王はアポカリプスのお腹から胸にかけて、手のひらで転がし、弄ぶ。その悦楽をアポカリプスは楽しんでいた。
魔王が体に飽きたのか、手を離そうとした。アポカリプスは慌てて指を掴み、ねっとりとしゃぶり始めた。
喉の奥に自ら突っ込んでいく。ゴツゴツとした細長い指を、下品に舌を出し、苦しみと共に口いっぱい味わっていた。
すると、アポカリプスの頬に何か液体がパタパタと落ちた。
指舐めを辞めて見上げると、魔王は頭に片手をあて、青い血を流していた。
「魔王様!」
巨大な魔王の顔の横まで浮遊し近づき、頬に手を当てる。
「我が血をわけた眷属が討たれたようだ。ベルゼブブが私に還った」
魔王は自らに流れる血を舐めながらいった。
魔王の髪が白髪のみでなく、茶髪が混ざりコシを戻し始める。顔も痩せ細った先程と比べると、いくらか肉付きが良くなり、皺も減っている。
眷属が還ることで、魔王は若さと魔力を、以前にも増して得ていた。
四天王がいる状態で、魔王を倒すのが最善手だということを、アイオンはタイムリープの中で気付けずにいた。
結果として、魔王を強化してしまうことになる。
「ま、魔王様。はしたない私をお許しください」
魔王の血の強力な催淫効果で、アポカリプスの心と体は限界だった。
魔王の返事を待てずに、自らを慰めながら、流れる血を丁寧に舐めはじめた。アポカリプスはひと舐めするたびに全身を震わせ絶頂する。
魔王は、退屈な日々に少しだけ刺激が入るかと、久々に心を踊らせたのだった。
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