第106話 馬車の中では・1
全員が揃ったところで馬車に乗り込み薬師の迷宮へと向かい馬車が走り出す。
馬車の中では薬師の迷宮へ入った後の行程を打ち合わせする事になっていたので、ギルドマスターが一枚の地図を馬車内に広げた。
「ギルドマスター、この地図は何ですか?」
「これは薬師の迷宮の内部の地図だ。今まで潜った冒険者達の情報から作り上げた物だから完璧な物ではないが、薬師の迷宮にこれから入る冒険者達は大抵購入して持参するアイテムのひとつだな」
「内部の地図なんてあるんですね.....でも完璧じゃないって言うのは?」
「基本的に迷宮の地図は潜った事のある冒険者の証言から作られるが、冒険者によっては進む方向が同じだとは限らないだろう?だから聞いた話の分、情報を繋げて行くんだ。たからもしかしたら隠し部屋があるかもしれないし、もう一本違う道があるかもしれない」
そうか.....ある程度の地図が手元にあればあえて冒険を犯さずに決められたルートで行った方が無難に迷宮を攻略出来るって事か....。
「なら今回は地図通りに進んだ方が攻略時間は短縮出来ますね」
オリヴァーさんがカノープスさんへと振り返るとカノープスさんも素直に頷く。流石に今回は時間が限られている事もあってか、早急に薬師の迷宮を攻略したいのだろう。.....そう言えば目的の素材は何階層にあるのだろうか?
「あの.....」
「どうしたリン?」
「ギルドマスター、あの今回の目的の素材がドロップするのは何階層なんですか?多分私聞いて無かったと思うんですけど.....」
聞いてないよね?と言うか教えて貰ってなかったと思うんだけど。
「ああ.....言ってなかったか。すまん....。必要な素材は十五階層のボスから稀にドロップされるんだ。因みに薬師の迷宮は全十五階層からなる迷宮だから、まぁラスボスからしかドロップしないと言うことだな」
「......ラスボスのドロップ品......」
「薬師の迷宮は五階層攻略する毎に転移が使えるようになるから、十五階層のボスを倒してドロップしなかった場合は十階層へ転移で戻り再度十五階層まで攻略する.....を素材が出るまでひたすらやる事になるな」
それは......
「え、それは途方もなくエンドレスな攻略なのでは.....?」
「だから君の運の良さを必要としたんだよ。言っただろう?僕達だけでは到底一週間以内に特定の素材をドロップさせるなんて運はないからね」
カノープスさんがそう言いながら染々と私を見ながら頷いている。
確かに聞いた、それは。
でもそこまでドロップ率が悪いとは思うまい。
「.....どうしても出なくてもお前の責任ではないからそんなに気負うことはしなくて大丈夫だ。死に急ぐ病ではないんだし、素材が普通に採取出来る時期まで待てば良いんだからな」
「.....でも出来れば必要だからこの国に言って来てるんですよね?」
「そうだな、でもこの時期にないのは向こうの国でも理解はしてる筈だ。ないものを出せと言われても困るだろう?」
それは本当に....。
「努力した事さえわかれば口実になるんだから、お前はいつも通り気楽にしておけば良いんだよ」
ポンポンと頭を優しく撫でられて黙り込む。
何だか子供扱いされてるみたいで恥ずかしいわね.....いや、子供だけど!
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