第39話 メントスへ行こう・1
行くと決めたらギルドマスターの行動は早かった。
元々視察は毎回抜き打ちで行われるそうで、メントスのギルドに一報を入れる必要もないそうで、緊急性の高い書類さえ片付ければ直ぐにでも立つ事が出来るそうだ。
何故抜き打ちでかと言うと万が一不正行為をしていた場合に証拠隠滅される可能性があるからだそう。
この辺は日本でも異世界でも変わらないんだな~とある意味感心した。ようするにどこにでも馬鹿な事をする奴はいるって事だよね。
と、言う事であれからまだ3日しか経っていないのに今日メントスに立つ事になった。
メントスまではギルドマスターの愛馬でタンデムだ。因みにここでの"タンデム"の意味はバイク用語でのタンデムなので本来の意味じゃなく、まぁ様はバイクで言うところの2人乗りの事。
私が馬に乗れないから仕方ないんだけど......。
最初はギルドマスターが一緒なら乗合い馬車を使っても良いんじゃないかと思ったんだけど、途中で何かあった場合に対応に駆り出されたりするので面倒なんだそう。
やっぱり乗馬は出来るようになった方が今後の為にも良いよねぇ.....メントスから帰ってきたらギルドでそう言った講習会がないかマリッサさんに聞いて見よう。
「じゃあしっかり掴まっておけよ?」
「はい、わかりました」
ギルドマスターの愛馬の背に2人で跨がり颯爽と街道沿いを駆けていく。ちなみにギルドマスターの愛馬の名前はプレアと言うらしい。 ガッチリとした体躯で脚力も凄くて、ギルドマスターが冒険者活動をしてた頃からの相棒のジュニアだそうだ。親子で自分を支えてくれてきた良い奴だと、笑って教えてくれた。
私が馬に乗るのが初めてだと言ったので、心持ちゆっくりと駆けてくれているのがわかる。私が落馬しないように、ギルドマスターが後ろから覆い被さってバランスを取りながら走ってくれていた。
「早いですね~」
「ん?怖いか?スピードを落とす事は出来るが.....その分メントスに到着するのが遅くなるが」
「いえ、大丈夫です。馬に乗ることが初めてなので実際に馬で走るとこれだけ早いんだなって実感しただけですから」
「......そうか、ならこのまま走るぞ」
プレアはそのままスピードを落とすこと無く、軽々と私達2人を乗せて走り続け、要塞都市ミルトンとメントスの丁度中間地点にあたる野営地へと向かった。野営地は、街が無い代わりに比較的安全に野営が出来るように設置された、まぁキャンプ場みたいな物かな。勿論壁が有る訳でもなく野外なので魔獣が出たりする事もあるが乗合い馬車等は護衛の為の冒険者を同行させるのが決まりになっているし、商人達も自分達で護衛を雇っているので問題はなかった。
私達が野営地に着いた頃には既に日が傾きかけており、既に到着していた乗合い馬車の乗客や商人等は各々、野営の準備をしていた。
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