第022話 100%中の100%舐めプ

「いくぞ?」

「うむ」


 お互いの同意の元、巨大蜘蛛の腹部に潜り込んで拳をめり込ませる。


「おらぁ!!」

「ぐはぁああああああっ!!」


 巨大蜘蛛は俺の拳を受けて一メートル程空中に浮かび上がり、胴体がべコリとへこむ。


「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらぁっ!!」

「ぐへぇええええええええええええええええええええええええええええっ!?」


 空中に浮かんだ状態の無防備な腹で連打を打ち込む。その度に思いきり胴体が陥没して、腹は穴だらけになっていく。


 すげぇいいサンドバッグだ!!


 一撃ごとに晴れていくストレス。俺は気分が良くなっていく。


―シュッ


「ぐほぉっ!!」


 いくつかの脚で器用に俺を狙ってきたので、バク転と同時に思いきり腹部を蹴り上げてやったら、口から紫色の液体を吐き出した。


 俺はそのまま着地して距離を取る。


―ジュウゥウウウウ……


 その液体は地面を溶かす。


 どうやら強い酸性を帯びているらしい。


―ピシッ


「とっ」


 いつの間にか俺の体に白い糸が巻き付いていた。


 どうやら俺の思考の隙をついて糸を放っていたようだ。腕の上から巻かれていて身動きが取れない。


「やってくれたではないか……。しかし、これでお主も動けまい。ワシの糸は特別製だ。引きちぎるのも不可能だ。そりゃ!!」

「おおっ」


 俺は糸を引っ張られて巨大蜘蛛に引き寄せられて宙を舞う。


 まるで遊園地のアトラクションに乗っているような感覚だ。


―プシャーッ


 巨大蜘蛛は空中で自由が利かない俺めがけて口から霧のブレスを吐きだした。


「食らうがいい。その霧に触れたが最後、お主の体はドロドロに溶けるであろう」


 巨大蜘蛛は俺に勝ち誇ったように告げる。


 うーん……どうしたものか。まぁいっか。


「ふんっ。はっ!!」


 俺は糸を引きちぎり、少し強めに拳を振った。強風が吹き荒れ、その霧をそのまま巨大蜘蛛にはね返る。


―ジュウウウウウッ


「ぐわぁあああああっ!?な、なにが!?」


 いきなり戻って来た自分のブレスを受け、顔を押さえながら巨大蜘蛛はたじろいだ。


 自分の攻撃を受けてダメージを受けるとか自業自得だよな。あのまま受けてもダメージを受けることはなかっただろうけど汚いから止めておいた。


「き、貴様なんで動ける!?ワシの糸が切れるはずがない!!」


 暫くして痛みが落ち着いたのか巨大蜘蛛が焦った様子で俺に問う。


「いや、あのくらいの糸なら正直楽勝なんだが……」

「バ、バカな……!!」


 なんでと言われてもあの程度の拘束は魔力による身体強化で簡単に引きちぎれる。


「そんじゃあ、今度はこっちから行くぞ!!」

「ま、待て!!」

「待たない!!」


 俺は巨大蜘蛛の言葉を無視して思いきり地面を蹴り、そのまま顔面を殴り飛ばした。


「ぐはぁああああああああっ!?」


 巨大蜘蛛は吹き飛んで地面を転がっていく。俺はすぐにそれを追って上から回し蹴りで叩きつけた。


―ボゴォッ


 地面がまるでクレーターのように凹んだ。


「ガハッ」


 背中から叩きつけられた蜘蛛は逆くの字に体を曲げて口から体液を出して苦悶の声を上げる。


―シュタッ


 俺は、クルクルと空中を後転して地面に軽やかに着地して後で蜘蛛を見る。


「ぐぬぬぬ……。まさかこれ程の近接戦闘特化型の陰陽師がいるとは……」


 巨大蜘蛛はかなりダメージを負っている様子だ。


「どうする?諦めて死ぬか?」

「ふん。これだけは使いたくなかったが、仕方がない。本気を見せてやろう」


 挑発したら、巨大蜘蛛は忌々し気に俺を睨みながら奴の体を紫色のオーラが包み込んだ。


「御託はいい。さっさとかかって来い」

「すぐに死んでくれるなよ」

「はんっ。お前がな」


 俺が手招きして挑発したら、自信ありげに返してきた蜘蛛。だから鼻で笑ってそっくりそのまま返してやった。

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