第68話八百万名物 チキンの日!

 八百万名物の日は続く、今回の八百万名物料理それは・・・・・・フライドチキン!そうあの棒有名チェーン店でお馴染みのフライドチキン。 

 

 インターネットを駆使しても、あのチキンの衣を完全再現する事は不可能だった。 

 

 ならばと異世界のスパイスを駆使して、本物を超えてやろうと思った斗真、鳥は異世界でも人気の高く、旨味も抜群でその分高いが冒険者から大量に手に入れる契約をしてほどほどの値段で手に入る、しかも最近では王宮やアーサー公爵からも物資が送られてくるので、アイテムボックスに唸る程余っている鳥肉、輝き鳥、本来輝き鳥がこんなに手に入る事なんてそうそうない、異世界の中でも高級と中級のはざまを彷徨う食材である。 

 

 肉的な意味合いでは現代の世界にはぶっちぎりで勝っている、あとはスパイス、ここで取り出すのはどこか遠くのダンジョン国家で作られたと言う、超極秘魔道具、叡智の箱、この中に輝き鳥を入れ、フライドチキンにした時の美味さの最大値を出せるスパイスを計測、その計算を元に作り上げたスパイスをつけ、二度つけして二度揚げ。 

 

 そうしてできあがったのが、人間の本能を剥き出しにする魅惑のフライドチキン、危ないアレでも入ってるのか?と思わせる程の爆発的な旨味と感情を揺さぶる味、一個食べれば二個三個と食べたくなり、チキンで腹をいっぱいに満たしたい感情が高まる。 

 

 そしてそのチキンに付属するのは三つの、これまた極上のタレ、一つはヤンニョムタレ甘辛いタレが病みつきになる。 

 

 もう一つはハニーマスタード、これもヤンニョムとはまた違う甘さとしっとりした辛さが特徴である。 

 

 最後には肉の味を倍増させるが如く、タレなのに肉の旨味が溢れるバーベキューソースの三つ 

 

 これが銀貨5枚で食べ放題!のびっくり価格なのである。 

 

 十二星座団 師団長 かに座キャンサーのアンナ、乙女座ヴァルゴのスピカ、蠍座スコーピオンのシャウラ 

 

 単髪の目つきが鋭く背の低いキャンサーのアンナ、腰まである長い髪が美しく、よく見ると礼儀作法の様な所作が美しく女性らしい涼しげで透き通った印象を受けるスピカ、スピカは両目を閉じたまま何が起こっても決して目を開けない。 

 

 そして最後に赤い髪を揺らし、どこか獰猛な印象を受けるも凛とした立ち姿が目立つ、シャウラ、十二星座団の師団長たち、地上に帰ってきてからは八百万の列にならんでいるのを住民はよく見ていた。 

 

 十二星座団の帰還の宴は八百万で行ったので、斗真やリリ、ねねとも顔見知りで宴の席で出された斗真の料理にやられた師団長や団員たちは多い。 

 

 たまに王都からくるラウンズの面々とはもちろん、グラナダファミリアのリナリアなどとも遭遇する事が多々ある。 

 

 「うなぁ~今日も列がすごいのなぁ~、でも斗真さんのご飯美味しいから納得なのな~、それにしても私達がいない間にウェールズで武道大会があったなんて・・・・・私も参加したかったのな~ね?スピカ」 

 

 「私は強さ比べにはあまり興味がありませんわ、でも商品が八百万、斗真さんだと言うのなら参加するのも仕方ない事かと」 

 

 「斗真の旦那の飯は美味しいからね!一日独占したらきっと甘い物も作ってくれるわ!私も参加したかったなぁ~」 

 

 「聞けばラウンズのガウェインと首領のアーサーも参加したとかなぁ~、うちらとどっちが上か白黒つけたかったのな~」 

 

 「ラウンズ如き!私が蹴散らしてやったのに!?」 

 

 「クリスタお姉さまがガウェイン卿を鎮めるのに、ドラゴニックアンタレスを使ったから、きっと二度目は通用しないわ」 

 

 「私の技はそれだけじゃないもの!?」 

 

 「うなぁ~私はきっと優勝できないからなぁ~身の程ってのわかってるのな~」 

 

 「アンナはタンクだもの、仕方ないわよ」 

 

 店までの列も中盤までさしかかってくると、いい匂いが漂ってくる。 

 

 「うなな~!いい匂いな~」 

 

 「うっは~今日も美味しそうな匂いねぇ」 

 

 「今日は何でも八百万名物の一つ、チキンの日なのだとか、人気の輝き鳥を使った揚げ料理、フライドチキン、魅惑のスパイスを使ったチキンが銀貨5枚で食べ放題!お土産に5ピースまではお持ちかえりがOKなのだとか!?」 

 

 「あぁ~!!!フライドチキン!!宴の席でレオの、ライオニアが一人で独占してたやつ!!!あれか~!とろうとするとライオニアが切れるから結局あたしら食べられなかった奴じゃん!」 

 

 「それっぽいのな~、ビーチェは泣き出すし、レムは怒るしで大変だったのだな~」 

 

 「もうすぐ私達の番です。楽しみですね」 

 

 店前でまっている三人をねねが出迎えた。 

 

 「いらっしゃい!三名様!奥の席にどうぞ~!今日はチキンの日になります~」 

 

 料金を前払いすると、チキンが二個ずつ足の部分とあばらの部分かな?それが出された。 

 

 「おかわり自由なのでいつでもお申し付けください~」 

 

 「いい匂いだけど、なんだか拍子抜けなのな~、チキンが二つ」 

 

 「食べてみればわかるんじゃない?スープと飲み物は自分でどうぞだってさ。あたしみかんの果実水とってこよ~」 

 

 まっさきにチキンに噛みついたのはスピカだった。 

 

 「これは!?」 

 

 「んあぁ~!?びっくりした!スピカがこんな大声出すなんて!?美味しいのな??」 

 

 「さいこおおおおおおおおおおに美味しいです!!ああっ齧り付いちゃう!!こんな人前で!骨付き肉に齧り付いちゃう!!!」 

 

 「そんなになのな!?スピカご乱心なのな!?どーれ私も、あぐあぐあぐぐぐぐぐぐ!うっま!なんなのらこれ!美味すぎるのな!あっという間に食べちゃうのな!!ねね~!!お替わりお願いなのな!」 

 

 「私にも!私にもお替わりください!」 

 

 「ジュースもってきたよ~って二人ともはやっ!もうお替わりしてんの!?」 

 

 「信じられないくらい美味いのな!ジューシーで脂身サクサクで!スパイスも丁度いい濃さでやばいのな!」 

 

 「この衣がめっちゃ美味しいわ!皮!?脂身なんか普段食べないのに!?なによこれ滅茶苦茶美味しい!脂身なんてもっとぶよぶよぎとぎとしてるもんじゃないの!?スパイシーで最高に美味しい!この皮だけでも食べたい!肉より皮が美味しいかも!!」 

 

 「肉もしっとりぷりぷりで美味いのな!皮も美味いのは認めるのな!この骨についてる肉を齧り食うのがまたなんとも言えなく癖になるのな!」 

 

 「ヤンニョムタレ!甘辛くて最高!!!これ考えた人天才だわ!?美味しすぎるもの!!」 

 

 「ハニーマスタードも甘くてツンとして脂との相性抜群なのな!?甘いお肉!一見げぇって思うかもしれないけど、実際は馬鹿美味なのな!?」 

 

 「ちょっとアンタたちがっつぎすぎって、まぁ周りも似たようなもんか・・・・・あたしたちの事誰もみてないもんね。どーれ私も食べてみーよぉっと・・・・・・・・ナニコォレ!うまぁあああああああああああい!信じられないくらい美味しい!だって!これ!肉!なんかわかんないけど揚げただけじゃないの!?うんまぁああああああ」 

 

 「シャウラ遅いのな!今頃なのな!うふふふふバーベキューソースもいいのな!どれも楽しい味なのな!ねねちゃんお替わり・・・三人前たのむのな!」 

 

 「私達の分まで頼んでくれたのですか?」 

 

 「何甘ったれた事いってるのな!全部アンナが食うのな!まだまだまだ全然食えるのな!!」 

 

 「だと思いましたわ、私も三人前お願いします!!」 

 

 「もぐもぐもぐんんんんんんもがあああああああ!!」 

 

 「シャウラは食ってから注文しろなのな!」 

 

 「ごくんっっっっっったはぁはぁはぁ、あたしも三人前!!」 

 

 男性の声で返事が聞こえてくる。 

 

 「はいよぉ!あい!お待ち!9人前ね!」 

 

 「おぉ!斗真さんなのな!チキン最高なのな!この間ライオニアが本能剥き出しでたべてたのがわかるのな!」 

 

 「御三方いらっしゃい、ねねとリリだけだと間に合わないからね。たまにはホールもやってるんですよ。食べ放題だから沢山食べていってね」 

 

 「はぅ~ごほんごほん、お恥ずかしい姿をみせましたわ」 

 

 「何急に恥ずかしがってんの?スピカ?」 

 

 「シャウラ・・・・斗真の旦那の前で大口あけるななのな!あと股閉じろ!」 

 

 「ん?・・・・・・ああっなるほど、こいつはお恥ずかしい」 

 

 やっと気が付いて顔を赤らめるシャウラ。 

 

 「あはははっまぁ楽しんでいってよ。飲み物も無料だからさ。は~い五人前!少々お待ちください。それじゃあ」 

 

 「ついついいつもの調子でがっついてしまったのな」 

 

 「仕方がないわ!?これ美味しいすぐるんだもの!!」 

 

 「そーだそーだ!女子だけの時は大抵こんなもんじゃん」 

 

 「ここには女子だけじゃなくて、普通にお客様もいるのな!美味すぎて本能さらけ出しすぎなのな!!もぐもぐもぐぐ!う~んやっぱりうまいのな!!」 

 

 「はぁ~斗真さんが旦那様なら美味しい料理毎日食い放題かぁ~」 

 

 「ごっふごっふごっふ、急になんですか!?」 

 

 「だって本当の事じゃん?師団長全員斗真さんがいい男って目線でみてるの、あたし知ってるからね?」 

 

 「ちゃっかり自分も人数に入れて喋ってるのずるいのな!!」 

 

 「でもアテナ様やニーア姉さまにクリスタ姉さまも斗真兄さんの前では女の顔するんだよねぇ・・・・・・」 

 

 「戦争が起きるのな・・・・・・その点アンナは何番目でも優しくしてくれるならいいのな!お買い得なのな!!」 

 

 「ごっふごっふごっふ!アンナ!?貴方はそれでいいのですか!?」 

 

 「貴族なら複数人嫁がいても問題ないのな、20人嫁がいるのに浮気する奴も世の中にはいるくらいなのだから、いい男やこれ!と決めた男は自然と取り合いになるのな。好きでもない相手に嫁ぐくらいなら二番目でも三番目でも愛してもらえるならいいのな」 

 

 「あたしもアンナに一票かな?」 

 

 「シャウラ貴方まで・・・・・・辞めましょ?考えれば頭痛くなるわ、今は思いっきりチキンだけで頭の中をいっぱいにするの!!」 

 

 なんだか不穏な話もしつつ、チキンに齧り付く三人なのだった。

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