第27話初めての宿のお客様
今日は朝から宿の入口に待機してる、ギムレッドさんが言うにはそろそろ領主である、公爵様が来るとの事、公爵様に一日楽しんでもらって、その後一般開放するって話で、ちなみに商業ギルドの職員さん達は研修を終えて各施設の内容もばっちり把握しているらしい、なんなら俺なんかより詳しいかもしれない、ほとんどオーナーとして何もする事、出来る事がないんだけど、ねねとリリにそこら辺の不満はないか聞いて見ると。
「ねねはお兄ちゃんの手伝いの方がいいかな、色んな人と話せて楽しいし、お土産もくれるし」
「私も父と母が残した土地が、こんなに立派になって多くの人を楽しませる施設に変わるなんて夢にも思っていませんでした。ちょっとお洒落な高級宿ってコンセプトが、大人も子供も遊べる憩いの場になるなんて素敵です!それに私もお客さんとは、八百万でお話できますから満足です。むしろ宿が出来たのだからそっちの仕事を頑張りなさいってお兄ちゃんに言われたらどうしようって、ドキドキして、出来れば住む家も、働くのもお兄ちゃんと一緒がいいな」
そうか、一緒がいいと思ってくれてたか、俺自身悩んだんだよなぁ、宿を商業ギルドにまかせるのは、オーナーとしてどうなんだろうって、俺が色々口出してるけど、リリとねねのものなんだから、リリとねねが女将さんの様にしっかり運営しなきゃいけないのではないかとか思っていたが、今まで通り八百万がいいと言ってくれるなら、何も言うまい。
「今丁度こちらに向かって歩いてきてるのがアーサーですね、どうやらガウェインとグラナダ嬢もご一緒の様で」
アーサーさんは金髪で爽やかなイケメンだった、長身でスーツ姿が似合っている好青年って感じで眩しい、目の前までくるとアーサーさんは跪いた。
「アーサー・フォン・ドラゴンと申します!この街を治める公爵家であり、貴族冒険者をまとめるクラン、ラウンズの団長を務めさせていただいております。以後お見知りおきを!稀人八意斗真様!」
公爵様がいきなり跪いた!怖い!怖いよ!何がおこってるの!?俺はギムレッドさんを見て助けを求める。
「はっはっはっは!アーサー!立ちなさい!斗真さんは、そんな仰々しいのは苦手な方なんだ、もっと気さくにガウェインでも相手に・・・・・は無理だな、私達と話す時くらいの軽い感じで頼む」
稀人って何?とか聞きたいけど、それどころじゃない。
「はっ!かしこまりました!斗真くんでいいかな?我が領地で困ってる事はないかい?」
「いえ!みなさんとても良くしてくれて、ありがたいくらいです!みなさんに支えられて八百万も楽しくやっていけてます。今回は宿を建てるにあたって、ちょっと規格外の物を僕が作ってしまい、アーサーさんにお忙しい中来ていただき、申し訳ありません」
「とんでもない!この巨大な建築物はやはり君の力か!流石稀人だ!ギムレッドさん達は中はもう確認したのか?」
「ええ、一通り確認して職員も配置済みです。各遊技場にはゲームを説明する職員も設置済みですので、今日一日楽しいひと時をお楽しみください」
中に入ると、やはり子供達の遊戯の道具やコースターなどが目に入る。
「これは私の知らないものが沢山ある!?」
「こいつは面白そうだな!!」
「これが稀人の力か!」
「ここは入場料をとり、一般開放予定ですね。その内露店や屋台なども並ぶのでもっと華やかになるかと思います。馬房から奥の方には馬を走らせるコースもあります。もっと広く場所をとれば、レースなども開催できるかと、他にも障害場競争なども可能で、その横が亡きアセリア様の庭園となっております。ご婦人達のお茶会やデザートを用意してのパーティーなども開けますね」
俺は正直ドキドキしていた、実はここは端っこで、そんな馬を遊ばせるほどの広さは最初なかったのだ、俺のスキルによって、シ〇シティの様に元ある城壁をもっと外側に無理に広げてスペースを確保したのである。
「城壁に問題がないなら、土地はいくらでも広げてもらって構わない、空間のエスメラルダの様に歪めたのだろう?むしろ土地が広がる事はいい事だから、どんどんいじってもらって構わない」
その一言でほっとした。
「では次に宿の部屋はどれも同じ規格で、風呂トイレ、映像の魔道具などが設置されていて、その映像の魔道具から演劇に歌劇、演奏からオペラ、映画なる物が見放題となっております3人から5人で泊まれる部屋がほとんどで、単身向けとツインは少なめです。最上階とその下のフロアがスィートルームとなっていて、今回はそこにアーサー様に宿泊していただきます。メニュー表にある飲み物食べ物はマジックボックスから無料で飲み食いが可能です、もちろんアルコールもあります」
「これは凄い!こんな宿みたことない!なんて贅沢なんだ!魔法国のマジックハウス以上に豪華だな!」
「風呂も滅茶苦茶広いし、色々仕掛けがあるぞ!!」
「アーサー!ガウェイン!私はこっちの部屋を使う!覗いたら殺すぞ!」
「うぉ!お嬢一人でいい部屋取やがって!!まぁ俺はアーサーと一緒でもいいか」
「否、私はこっちの部屋を使う!」
「なんでやねん!じゃあ俺は残った部屋っていっぱいあるな、まぁ適当に使うわ」
「夜は庭園がライトアップされるので、散策する事も上から景色を楽しみながらお酒を飲む事も可能です。ちなみに!!!ここでしか飲めない特別な酒なども斗真さんから譲りうけました!!非常に美味で驚きました!一般に流れている高級ワインをご想像ください、アーサー様達なら飲んだことはおありですよね?」
「ああ、中には公爵領の予算並みに高いワインなんて物もあるくらいだ」
「俺らも腐っても貴族の集団だからなぁ、それなりに高い酒や王家秘蔵の酒、中には他種族王家の秘蔵の酒や魅惑の酒なんかも飲んだ事あるくらいだ」
「アーサー程ではないにしろ、私もそれなりに飲んでいる方だ」
「お三方それぞれ、忘れられない一杯などあるでしょう?だが!そんなものはゴミだ!!!!っと叫びたくなる程次元が違う酒なんかも世の中にはあるのです・・・・・・特にこの斗真さんから頂いた、斗真さんの世界でも人気な酒、響や八海山・・・青蘭、山崎と言う所で生産される梅なる実の酒、梅酒、米で作られた魔王や獺祭など、そして異世界のエール!!!!数えきれないほどの数のエール!!!斗真さんに無理を言って手に入れてもらったエールの数々、中には取り寄せる事が不可能で断念した物も多くありますが、それでも無理をいって集めてもらった酒の数々!!!ドワーフでなくても酒を窘めるものなら、一度は飲んでみたい!!!その至高酒達が味わえるのは、世界広しと言えど、この宿だけです。皆さんご存じ私はSSSランクです!ライブラの異名通り公平をモットーに!世界各国の酒!幻想酒などや幻の龍酒なども味わった事のある私が!!!自信をもって皆様にお勧めする酒達、それを味わうだけでも、ここに泊まる価値はあるでしょう」
ギムレッドの演説に三人は喉を鳴らす、俺的にはお前達が最高と思って飲んでた酒はゴミだと言われた様な気がしたんだが?否言ったよな確かに。
「まぁまぁそれは今夜のお楽しみに!今度は遊技場を見に行きましょう!」
「ギムレットさん楽しそうだねお兄ちゃん」
「ずっと開店の日を待ってたみたいだし、お酒の発注に俺は疲れたけどね」
「でも、そのお金でお兄ちゃんに服とかいっぱい買ってもらえました!」
「手間賃でちょっとくらい俺達にも得がないとね。二人とも他にも何かほしかったら遠慮なく言うんだよ」
「「は~い」」
そんなこんなで遊技場、トランポリンや跳び箱などがあり、ちょっとした障害物競争が出来るのが特徴の一階、コース攻略者には記念に何かあげるのもいいかもね。
二階はバスケットにミニサッカー、バレーにテニスなどの球技が楽しめる、チームを作って対戦するのも楽しいだろう。
「球技はラウンズの奴等を集めて試合するのも楽しそうだ!」
「グラナダ対ラウンズの試合なんかもいいんじゃないか?」
「おう!それは面白そうだな!」
「ご当地チームなどが出来れば、その土地の人はそのチームを応援したり、どっちが勝つか予想してギャンブルにもなるね、公爵様公認でギムレッドさんが纏めれば、公爵領の予算なんかも潤うんじゃないかな?」
「面白いな!民を楽しませて、税も徴収できる」
「馬のレースもだけど、破産者なんか出さない程度に遊ばせる事が重要になってくるかな。ただ大本が公爵家や王家だったりすれば、そのお金を福祉や社会の為に使えるから、無駄にはならないんじゃないかな?どこかの商会一つにまかせたりすると、富の集中を招いて、良くない結果になりそう」
「斗真さんの考えは素晴らしいです!まさにギャンブルこそ王家や公的機関が扱うべきです。それと同時に破産者を出さない救済システムなどあれば一番良いかと、生活費を削っての遊びなどは危険ですからね、ギルドカードで借金などの確認など、個人を管理するシステムでも投入すれば、のめりこんでいる人などは入場禁止にすればいいかと」
「これが稀人の力か・・・・お爺様の時代の方は武人だったと聞いたが、斗真殿は商売の知識が豊富なのだな」
「斗真殿!グラナダ領にこないか!?街の区画整理や公共機関などの整備、できる事ならこの宿と同じものが欲しい!!!金なら出すぞ!!アーサーの様に私は堅物でもケチでもないからな!」
「お嬢!横から掻っ攫うなんてずるいぜ!旦那!うちの領地にも遊びに来てくれ!うちはそんなにでかくないけどいい土地だからさぁ、ついでにうちも整理してもらえると助かる!!」
「こらこらお二人とも、この宿は亡きガロ様とアセリア様を思って、リリ殿とねね殿をオーナーにした宿、完全に斗真さんのご厚意で建築されました。無理を言ってはいけないですよ」
「今の所他の領地にいく予定はないですね、でも確かにこことは差別化を図って似たような施設があればいいとは考えますけど、逆にそんなにぽいぽい作って良い物かどうか・・・」
「他にもダーツ、ビリヤード、ボーリングなど楽しい遊戯は沢山あります」
「これならラウンズの奴等も連れて来た方がよかったな、アーサー」
「そうだな、だがとりあえず俺達だけで楽しもうか!」
「お風呂は大浴場などもありますから、どうぞわからなくなったら職員にお声がけください」
「今日の晩御飯は八百万をご利用ください。アーサーさん達にお寿司をご馳走しようとおもってまして」
「寿司!?アーサーの念願の寿司が食えるぞ!」
「ああ!!夢にまで見た寿司!楽しみだなぁ」
お祝い事と言えば、お寿司なのだが、古い考えだろうか?
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