第21話施設の確認!!本日イールの日!!
スキルを発動すると、少しだけずずずと地面が揺れた感覚がした、店の外に出てみるとなんとまぁ立派な現代風の建物が二つ、これはみんなで確認しなければ、まずは周りの外周を確認する。
自動で回るコースターがリリ達の家の敷地をぐるっと一周しているが、これが中々に広い20人までは乗って景色を眺める事が出来そうだ。
大きな櫓の様な建物に上まで行くと行と帰りのあるジップラインが庭園の頭上を通り過ぎる設計になって居て、万が一に落ちても大けがはしないかなって高さだ、絶妙な高さになっている。
外のアスレチックは、ターザンロープに網目状の縄を登っていく坂や木でできた梯子にツリーハウスの様な広い休憩スペースや大きな滑り台など、上り下りする遊具なんかもある、ブランコも何個かあり、砂場にベンチ水飲み場なんかもある。
そして庭園、休憩スペースが増えていて、お茶が出来るように自販機の様なマジックボックスが設置してある、もちろんゴミ箱などもだ。
馬房があり、馬が遊べる広場があり、障害物を設置して障害物競争など出来るようになっている、お馬さんと障害物競走で遊びた~いなんて時はスイッチ一つで障害物がコースに出る様になっている、もちろんそれを見る座席などもあるが、どこの競馬場だよって感じ。
「想像の遥か上をいってますよ!斗真さん!外の施設だけでもとんでもないですよ!これ!馬での障害物競走なんかは賭けにも、競技にも使えます!乗馬の訓練も安全に出来るでしょうね!」
「レースなんて開催したら入場制限かけないととんでもない事になるな」
「レースの開催!?素晴らしいです!?」
「やるなら商業ギルドで運営してね、それに露店なんかもならべてさ!みんなおやつだったり小腹が空いたら屋台なんかあったら繁盛するだろうね。ちょっとした祭りになるな」
「露店に屋台!」
「ほら次宿みにいくよ!」
興奮するギムレッドを引っ張って建物内に入る、広いエントランスにカウンター、エレベーターらしきものにエスカレーターもある、一階からも外を見る事ができる広い広場があり、椅子やテーブルが並べてあって、自販機が設置されている。
どの部屋も最低3人から5人程寝泊まり出来る部屋で、風呂とシャワートイレが付いていて、2階3階4階と上にいけば行くほど庭園が綺麗に見えるのと同時に、馬のコースやアスレチックが目に入る。
どの階にもリラクゼーションスペースがあって、マッサージチェアにアルコールの自販機などがある。
部屋はどれもが高級品で、寝具もバスローブやタオルなども綺麗な一流品、窓は完全開放出来ない様になっているのは子供の対策の為だ。
隣の遊技場にそのまま繋がっていて、一階はトランポリンや跳び箱に鉄棒などの体操選手が使う体育館の様な感じだ、ボールが敷き詰めてある箇所があり、高い所からダイブやトランポリンを使って高く飛んでボールの海に落ちるみたいな遊び方が出来る。
二階はハーフコートでバスケットにミニサッカー、テニスなど球技が出来る場所だ、三階はまるまるとボーリング場になっていて、四階にはビリヤード、ダーツ、酒場のバーや休憩スペースなどがついた広場になっていてどの階も上がると、まずスタッフが受付するカウンターがある。
最上階は劇場になっていて、舞台があり演劇や歌手や楽団を呼んで開催する事もできると思えば、天井が液晶の様になっていて、プラネタリウムの様にも変更可能で、他に映画なども鑑賞可能の様だ、流れる映画は日によって変わるらしく、一日同じ映画がループされる仕組みになってる。
なんの法則が適用されているのかわからないし、映画の内容をこっちで調整する事が出来なかった、神様がOK出したものが流れていると判断する。
これは凄い!凄いが!やりすぎだ!なんちゅうもん異世界に作り上げとんねん!?いいのか!?こんな大層なもん作って!?俺はドン引いた・・・ギムレットもリリもねねもなんの疑問も抱かず、ただただ純粋にはしゃいでいる。
天罰落ちないといいなぁ・・・・。
「調度品なども素晴らしいですが、強固な魔術がかかっていて盗めない様になっていますね・・・・これは私でも無理ですね、持ち帰り確認してみたいですが。どうやら持ち出せる物と持ち出せない物にちゃんと別れているみたいですね。あと魔術式から盗難や詐欺など犯罪者が出た場合や侵入してきた場合、衛兵の詰所の牢獄に転移される仕組みになってます。これは注意喚起が必要ですね」
手癖の悪い下級貴族なんかが、盗みでもすれば一気に牢獄いきか。
「その点も踏まえて、やはり公爵様をお迎えするべきですね。公爵様や国王様の公認をもらえれば、下級貴族や中級貴族など口が出す事ができなくなりますから、特にこの街を納める公爵様は国王様の従兄でもあらせられますから、いい方向に導いてくれるはずです」
「最初のお客さんが公爵様だって、どうするリリ?」
「だだだ大丈夫です!?大丈夫だよね?お兄ちゃん」
大丈夫だと思いたい、まぁ全部ギムレットさんにまかせて、俺は・・・・・ん?もしかし俺も公爵様に料理作んなきゃいけなくなんの?それは・・・ちょっと・・・・そんな高級な料理なんて知らないんだけど、やっぱり作らなきゃダメだよねぇ・・・・・・・。
建物は出来上がって、街の人達からも注目を浴び始めたけど、一番最初のお客様は公爵様に決まっているし、ギムレッドさんのお陰で従業員は商業ギルドの優秀な人員が配置についてくれるので、俺とリリ、ねねは八百万で料理に専念できる、公爵様には料理を出すのと同時にリリがこの施設の女将である事を理解してもらおう。
これからは他にも多くの宿泊客の食事も、八百万で用意していかなきゃいけない、料理はその宿の格にも繋がってくるからだ、施設は最高なのに食事は最低だったなんて言われたくないし、更にはそれとは別に一般客や子供のお客様なんかもくるだろう、そんな時の為の激安料理なんかも時には必要になってくるだろう、簡単なお菓子なんかも必要になってくるかもしれない。
オープン前の今のうちに、アイテムボックスに料理達をどんどんストックしていく、刺身の盛り合わせや寿司なんかは積極的に喜々として作っていたのだが、最初の頃の生魚に対するみんなの反応をみて、これは受けないかもしれないと思って、天丼作りや天ぷら盛り合わせにシフトしたり、スーパーで売ってる三食焼きそばを大量に作ってみたり、サンドイッチやホットドックを作り始めたり色々と忙しい、もつ煮やもつ焼き、もつの串のストックは大量にあるけど、これもやはり貴族なんかには下品と思われるかも知れないから出せない。
炊き込みご飯もどんどん作ってはストックしていく、タケノコご飯にゴールデントラウトといくらの混ぜご飯、キャラメル豚の豚バラネギ炊き込みご飯に五目御飯に鳥釜飯の素を使った混ぜご飯や漬物煮物もどんどんストックしていく、朝から商業ギルドの職員と大きな寸胴や鍋など借りて、大勢で調理する様は炊き出しの様な感じである。
そんな休みか休みじゃない日を超えて、公爵様達が来る日が決まる、宿はその日オープンさせればいいけど、八百万をその日まで閉めて置く事は出来ない、休みを挟んだ事によって今日も開いてないの?と言うお客さんがそれは沢山きたからだ、ドアが開いて今日は休みだよ!と告げるとドアの前で崩れ落ちる人が何人かいた、思わず泣きだす冒険者もいたので、炊き込みご飯のおにぎりをあげたくらいだ、ごめんね、明日にはオープンするからねといい、朝起きて仕込みをして11時に店の外を見ていると、冒険者達の列がずらぁ~~~~っと並んでるではないか!?何事!?と思って列の先頭のレックスさんに聞いて見ると、自分が並び始めたら、あれよあれよとみんな集まってきてこんな事に。
2~30人の列がびしっと綺麗に並んでいる。
30分早いけど、オープンするか・・・・。
「旦那!今日の飯はなんです!?」
「ん?今日は・・・・そう今日はイールの日だ!」
「「「イールぅぅぅぅぅうぅ!!!???」」」
先頭付近の聞いてた人間はイールと聞いて、嫌そうな顔をする奴らばかりだ、ルーカスさん達には出した事あるけど、一般客にイールを出すのは初めてなんだよなぁ。
ちなみに俺の商業ギルドに提出したレシピの売れ行きは非常に悪く、物好きが買った以外ほとんど売れていない、イールが美味いって事も街では全然広がっていない、これを機にイールが美味い事をわかってもらえれば嬉しい。
「おい!レックス!イールってマジなのか!?お前があの店にいきたいってどうしても言うからPTメンバー引き連れてこんなわけわからん建物がある場所まできたんだぞ!?」
「たまにいるんだよなぁ、安かったりただでもらえるからって、そんな素材で商売始めようって考える奴が、成功例なんて見た事もないがな」
「折角並んだのにイールが出るなんてあんまりよ!今からでも店変えましょうよ!?」
「行きたきゃ行けばいい・・・・おれは!?この店でイールを食う!?」
レックスの決意にも似た怒号が広がる。
「俺はちょっと前まで、ソロだった!!見た目が怖いのと狩りに慎重な事で煙たがられ、拾ってくれるPTなんかなかった!ここなんだよ!ここで飯を食い始めてから俺は変わったし、お前達にも拾ってもらえた!俺は旦那の腕を信じてる!帰りたきゃ先帰ってくれ、仕方ないよな、どう料理してもまずいって言われてる下魚だもんな」
「レックス・・・・悪かったよ、仲間だもんな!同じ釜の飯を食うか!なぁお前ら」
「いい記念になるかもな」
「ぬ~男の事なんかわかんないけど、わかったわよ!私も食べるわよ!?」
レックス達を店に入れて、店の席は全部埋まってしまった。
レックスの一言に感じいる所があった奴らもいたらしく、イールが運ばれて来るまで、どこか処刑を待つ子犬の様などんよりした空間が店全体に広がっていた。
「は~いうな重お待ちどうさま~」
「うな重?」
「ああっイール重でもいいよ、お替りもできるけど別料金いただきますからね!」
「イールでお替りって・・・おぉ!?なんだこのいい匂い!?本当にイールか!?」
「おい!?思ってたのと全然違うぞ!?」
「美味そうじゃねぇか!?」
「いいにお~い!?」
匂いに釣られて店全体ががやがやと騒ぎ始める、誰かが言った。
「レックス!?どうせなら一番最初に食ってみやがれ!?」
店の全員の目がレックスに注がれている。
「いただくぜ!」
レックスは豪快に米とイールを口にかっこんだ!。
「もご!もぐもぐ!んお!うんうんうん!!!」
「おい!どうなんだレックス!」
「美味いのか!?」
レックスは一息はいて、水を飲んで一言。
「極上にうめぇ・・・・泣いちまいそうだ!?」
「まじか!?おい俺達も食うぞ!もぐもぐもぐ!?ぬお!?これは!ふわっふわのとろっとろじゃね~か!」
「なにこれ!?おいし~い!?」
「イールってこんなに美味いのかよ!?とろとろと消えていく!ほくほくの甘い身!?」
「すまん!?リリ嬢ちゃんお替りくれ!?金なら払う!?」
「おれもだ!!俺ももう一杯食いたい!」
「スープもいいなぁ・・・安心しちゃう」
「こっちにもお替り頼む!?」
「どっひゃぁ~こりゃたまんねぇな!?レックスの野郎見る目がありやがる!?」
「イールがこんなに美味くなるなんて信じられねぇよ!?夢でもみてんのかな、なんでもいいや!うめぇ!うめぇ!」
「ここの常連の奴らこんな美味いもん、隠してやがったのか!道理でこの店の事もらす奴が殆どいなかった訳だ!」
「日によってメニューが変わるんだとよ!明日はどんな飯食えるんだ!?」
「この米とイールの一体感!?米ってこんなに美味かったのかよ!?他の店では全然だったぞ!」
「店主の腕がいいんじゃないか?こりゃうめぇ!米とタレだけでもうめぇ!」
「うぅぅぅぅ!あたしも!お替り!?男どもばっかりずるいわ!?」
「香ばしいイール!米ののど越しがまた最高!?」
「イール重はお一つ銀貨一枚!お替りも銀貨一枚ですよ~」
「「「「「安い!!!!!」」」」
外で待つ人間も、イールと聞き逃げ出したくなるけど、店から聞こえる喜びの声と美味い美味いと聞こえてくる声に、イールと知りながらもその場を離れられず、自分の番が回ってきて、恐怖しながらも店に入ってしまう。
店を出ていく人間の、なんとも言えない満足そうな顔、清々しい笑顔に一体どんな料理が提供されているか?興味が尽きない者達が、列で自分の番はまだかまだかとならんでいる、そんな八百万亭なのでした。
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