第13話

 俺はその後、仏壇を眺めている聖女様から離れて言った。


「じゃあ俺、先に風呂入っちゃうからな」

「はい」


 俺はそう言い、一旦自室に向かい、着替えを取ってきた。そして風呂に入るために服を脱いだところであることに気付いた。


「洗濯物どうするかな…」


 思春期の女子は男の服と女子の服が一緒の洗濯機で洗われるのは嫌だという話を聞いたことがあった。流石に分けて洗うのは面倒だし、水道代もかかるからあまり分けて洗うというのはやりたくないが…、訊いてみるか?聖女様のことだから、遠慮して何も言わなさそうだが…。


 ここで悩んでいても仕方がないので俺は一旦洗濯機に俺の服を突っ込み風呂に入ることにした。


 俺は風呂から上がると、リビングにいた聖女様に尋ねた。


「そういえば、畑山の洗濯物って俺のと一緒に洗っちゃうので大丈夫?」

「えっ、それ以外何かあるんですか?」

「いや、俺のと一緒に洗われるの嫌とか…」

「そんなことないです!」

「おっ、おう…」


 聖女様は嘘偽りを感じさせない強い口調で俺に言ってきた。俺はそれに押される形で頷いた。


「それでいいなら一緒に洗っちゃうぞ。…あと、夕飯食べたいとき言ってくれ。温めたりご飯解凍したりするから」

「ええ、分かりました」



 その後、俺が部屋に戻り一時間後、そろそろ食べませんか?と聖女様に言われた俺はルーを温め、ご飯を解凍し、食卓についた。


「じゃあ、いただきます」

「いただきます」


 そう言って俺たちはカレーを口に入れた。


「おいしい…」

「それなら良かった」

「これが…、私と蒼人くんが初めて二人で作ったカレー…」

「そうだな」


 俺は単調にそう返した。ただ、聖女様は何故か体を震えさせ始めた。そんなにカレー美味しかったのか?


 俺はそう疑問に思いつつも口に出すことはなく、黙ってカレーを食べた。


 そして、食べ終わり、皿を運んで洗い始めようとすると、昼食のときと同じように聖女様がストップをかけてきた。


「お昼のとき、洗ってもらったので今度は私に洗わせてください」

「お昼のときは拭いてもらったし、洗えるから大丈夫」


 俺がそう言ったところで聖女様は少し考え込んだ後言ってきた。


「…じゃあ、当番制にしませんか?一日ごとに蒼人くん、私、蒼人くん、と交代するという形で」

「…畑山がそれでいいなら」


 俺は別に特に異論はなかったのでそれを了解することにした。


「じゃあ、今日は俺がやるぞ」

「お願いします。あと、私もお風呂いただきますね」

「どうぞ。あっ、洗濯物は洗濯かご置いておいたから、そこに入れておいて」


 彼女はありがとうございますと言って風呂場の方に向かった。俺はその後、皿を洗い終わり、拭き終わったところで一旦部屋に篭った。


 時計の針が23時を過ぎるのを確認したところで、俺はキッチンに行き、とある薬を取り出した。


 そして、それを昼間より多く飲もうとした。そのときに突然聖女様から声をかけられた。


「あれ、蒼人くん?その薬は?」


 俺が取る前に、聖女様は机の上に置いてあった俺の処方箋を取り読み上げた。


「睡眠薬…?」


 俺は頭に手を当てた。絶対、面倒くさくなるやつだ…。

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