第12話 表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!(12)




ヤマトが貸してくれたジャージと短パンは大きかった。




「うはははは!ひとまず、変・身!完了でっせぇ~!!」


「いや、あまり大げさに言わないでいいから・・・」


「ええやん、完璧な凛道蓮や!さすがに、バンダナは持ち歩いてんやな~!?」


「見られても、ハンカチと言い訳もできるますからね。」




洗面台についていた鏡で、自分の姿を確認する。


上はぶかぶかで、下は抑えてないとずれ落ちてしまいそうな短パンだ。


それでバンダナを口元に巻いているので、余計に幼く見えた。




〔★一部の層に受けそうなファッションだ★〕





「いつもの凛やなぁ!うはははは!なんぞ、困りごとはあるかいな~!?」


「そうですね・・・ベルトがほしいです。」


「ありゃ!?わし、そんなにデブやいのぉー!?」


「いいえ、標準ですよ。どうしても、体格的に・・・・ぶかぶかなんですよね・・・」



ずれそうな短パンを見せながら言った。



「抑えながら歩くのは、ちょっと・・・」


「うははは!せやな!パンチラに、気ぃーつけや!あ、そういや、下着はどないなってん!?ノーパンはあかんやろう!?わしのはくか!?」


「はいてないわけないでしょう!?す、菅原凛の下着を着てますから・・・!」


「うはははは!なんや、女物やって言いや~!そこまで、こっとるんかぁ~!?」


「だからこそ、ベルト貸して下さい!」


「そやなぁ~!うっかり見えたら変態決定やなぁ~うははははは!」



両手を叩いて爆笑する関西人。




(こいつ・・・他人事だと思ってぇ~!)




「うはははは!そない、ニラむなやぁ~!ほい、ベルト!」


「くっ、あ、ありがとうございます。」




下着事情まで教えてことに、恥ずかしさを感じながらも受け取る。




〔★凛はベルトを手に入れた★〕




「うはははは!気にせんでええって!菅原凛の服も、置いといてええからなぁ~!帰りもちゃんと送ったるさかい!」


「え、いいですよ!そこまでしてもらうと、悪いです。」


「それこそ、あかんて!凛のところのいじめっ子らが、凛の後を尾行しとるんで?」


「ええ!?まさかここまで・・・!?」


「これへんように、わしが妨害しといたわ!しっかし、学校から出ても後をつけ取るのはあかんの~」


「全然知らなかったんだけど!?」



初めて聞いた事実にゾッとする。




「そこまでする・・・?気持ち悪い・・・・!」


「そんだけ、暇と金を持て余しとんやろうー?ぶっちゃけ、金持ちの私立に成績は関係ないからのぉ~おまけみたいなもんやん?肩書めあてで、一般人は入るけどなぁー?」


「・・・うちもそうですよ。」


「あ!?ホンマか!?」


「だから・・・成績を気にしてるんです。私の将来のために、両親は・・・」


「そやろなー!まぁ、それが本人のためかわからへんけどなぁー♪」


「別にそれは良いんです。問題は―――『菅原凛』への尾行です。」




いつから、尾行されているのか?


ヤマトは、それをどこで知ったのか?



「ああ、それはなぁ~」





私の疑問を察した関西人が、口をへの字にしながら教えてくれた。




「凛に学校の道を聞いた時からやねん!」


「え!?そんなに前から!?」


「なんや、取り巻にしては、遠巻きやなぁー思って声かけたねん!どこぞのお嬢様化と思えば~うはははは!ヤンキーの王子様やって!ウケるぅ~」


「僕は楽しくないよ!?」


「けど、瑞希はんと出会えて幸せやろ?」


「それは、幸せですけど・・・!」


「うはははは!せやから、そんころから・・・気ぃつけて見てたんや。尾行してまで、弱み握っていたぶろうって根性、わしは好かん!」


「ヤマト・・・」


「まぁ、わしが二重尾行しとるから安心て帰り!」


「ヤマト・・・」




気遣う彼に、言いにくかったけど言った。





「2メートル声で、大声で、グラサンとカチューシャのうるさい関西人が二重尾行してくれると・・・・余計目立つ気がする・・・」


「うはははは!わし、視力が裸眼で2.5以上やねん!遠くから見守るあしながお兄さん系や♪」


「そうなの!?それなら・・・・・・いいのかな?」




(これからも、尾行してくるいじめっ子を排除してもらうことを・・・)




見上げながら言えば、グッと親指を立てながらヤマトは答えてくれた。




「うはははは!まかせときっ!!」


「いいの・・・?」


「えーねん、えーねん!凛が凛道蓮やってわかった時点で、わしは本格的に影から見守っとるからのぉ~黙ってわしに任せときっ!なぁ、総長?」


「・・・・わかりました。頼りにさせていただきますね、ヤマト。」


「当然や!大親友やもんな!うはははは~!」




お礼を言えば、楽しそうに大口開けて笑う大親友。


本人は、手加減してると思うけど・・・バンバンと痛く・・・強く私の背中を叩きながら言った。




「ほな、着替えたし、行こうか?わしの単車、地下の駐車場やねん!」


「うん。あ、でも!地下の駐車場って、防犯カメラは~?」


「うはははは!あるけど、平気や!壊れてんねん!」


「どこまで故障が多いんですか!?」


「凛的には、ラッキーやないか~!?うはははは!」


「そうですけど・・・・」




鼻歌まじりのヤマトと共に、彼の部屋を後にする。


こんなに良い偶然もあるものかと、少しだけ心配になる。


でも、ここはヤマトを信じて見ることにした。




〔★凛とヤマトの親密度(?)がアップした★〕







ヤマトに案内され、マンションの駐輪場まで下りる。


自転車とバイクと分けられており、大型ばかりが並ぶ場所にヤマトの単車があった。


その中なの1台を指さしながら関西男子は言った。




「ジャジャーン!これがわしの相棒!」



そう言って紹介してくれたのが――――――




「あ・・・ハヤブサ?」




ド派手な虎柄(とらがら)のバイク。


黄色と黒の単車には、銀色で『虎』の文字が入っていた。




「うはははは!わかるか!?わかるか!?このボディーでどこの単車か!?」


「え?詳しいことまでは言いきれませんが・・・・」




数か月前まで、バイクの種類なんてわからなかった。


何が何かもわからなかった。


車体のロゴで、ホンダとかマツダとかわかるぐらい。




「スズキが出している・・・走りがすごくて、車体が重たいバイクですよね?」


「だぁーいせいかぁ~い!!」




それが今では、一目見て判断がつくようになった。



〔★凛はレベルアップしていた★〕



「うはははは!ええやろぅ!?サムライジャパン!の鎧兜をイメージして作られたんが、このバイクやねん♪」



子供みたいにはしゃぎながら、バイクを自慢するヤマト。


その姿が微笑ましくて、つい、笑みがこぼれた。




「・・・本当ですね。すごくカッコいいバイクですよ。」


「せやろ、せやろ!?もっと褒めて~!」


「というか、このデザインは自分でしたんですか?」




ド派手で強烈な個性を感じるバイクの絵柄は、とても市販で売っているとは思えない。


自分で塗り直したんじゃないかと思って聞けば、ご機嫌な口調でヤマトは言う。






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