第10話 表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!(10)




「あほか!わしゃ、そないな趣味はあらへんわ!ほれ、ついたで!」


「あ、すごい・・・」




オシャレな壁アートの廊下。


設置されている明かりと模様がコラボしており、LEDの電灯がまるで宝石のように見える。


明かりがつけば、もっときれいに見えるだろう。





「素敵・・・・本当にここで、1人暮らしなんですか?」


「うはははは!そやで!」


「だとしたら、お金持ちですよ・・・」


「うはははは!たまたま、家賃が安いだけや!ここやで~!」




そういうと、1つの部屋の前でカギを開けるヤマト。


家賃が安いって、これは絶対に10万は軽く超えてるよ。


そこに1人暮らしって・・・・



〔★凛は何か言いたそうだ★〕




悶々とする私に、ヤマトが気づいて笑いかける。




「なんやー!わし、彼女はおらへんし、凛は顔が対象外から、みょうな気は起きへんでー!?それとも、起こしたほうがええ?うはははは!」


「永遠に起動させないで下さい!」




安心だとわかってるけど、ムカつくな・・・・!




〔★喜んでいいのか怒っていいかの中間だ★〕




「うははは!おしゃべりは中に入ってからや!ほな、お客様1名、ご案内~」


「お、おじゃましまします・・・」



(いくらお互い対象外だとしても、同級生の・・・異性の家は緊張するわ・・・・)



開いた玄関に、ドキドキしながら入る。


瑞希お兄ちゃんの時とは、違った意味で鼓動がなる。


そして、感嘆の声を漏らした。




「やっぱりすごい!」



内装もやっぱり豪華。


比較したくないけど、蛇塚の部屋よりは小さいかもしれない。


だけど、壁も床も天井もピカピカの新品だった。


清潔感では、内装では、間違いなく蛇塚の所よりキレイだった。




「すごく、素敵!新築のにおいがしますね~」


「うはははは!せやねん!内装直してくれたんや!こっちがリビングやで~!」


通された場所は、光がよく入る場所。



「広いっ!?」




入った瞬間、思ったことを口にしていた。






「物がない!?」






広いけど、なにもない。


テーブルやソファーがあってもいいのに置いてない。


カーペットさえも敷かれていなかった。


あるのは、無造作に置かれた最新の大型テレビとエアコンだけ。




〔★さみしすぎだ★〕




「うははは~!荷ほどきしてないねん!」


「4月に転校してきたんだよね!?もう3か月だよ!?」


「いややなぁ~3月やねん!」


「4か月経ってるのに、このままなの!?てか、他の荷物はどこですか!?」


「とりあえず、そっちがわしの部屋や!」


「話聞いてますか!?」


「せやから、凛のことが先やんか!うはははは!」



誤魔化したわね・・・




〔★ヤマトは話題を変えた★〕




「うははは!心配せんでも、ちゃんと自分の部屋に物だしてつかってんねん!」




そう言って開けた1室。


目に飛び込んできたのは・・・・




「服が散乱してますね・・・?」


「うはははは!男らしいやろう~!?」


「世間ではそれを、だらしないと言うんですよ?」




〔★残念な暮らしぶりだった★〕




脱いだままの服は、床だけでなく、ベットと机の上に置いてあった。


机の上に乗せた服の下から、教科書らしいものが見える。


本棚はないのかと見渡せば、さっきよりサイズは小さいがテレビもあった。


エアコンも設置されていたので、いる分には困らないと思う。




(さすがに、カーテンはつけてるわね・・・・)




「とはいえ・・・物が少ないですね。」


「必要なもんだけ、引っ張り出したんや!」


「もしかしてヤマト、この部屋しか使ってないんですか?」


「うはははは!3割はここやねん!」


「残り7割は?」


「さっきのリビングや!」


「その割にはきれいでしたね!?」


「うはははは!そりゃあ、汚れんように、こっちで着替えてるからのぉ~!ちゃんとルンパかけてんねん!」


「ものすごく残念な使い方してません!?」


「うはははは!えーやん!あっちの方が、テレビが大きいから寝ころびながら寝るのにえで~!?寝返りし放題で、ベットから落ちんでええし!」


「床で寝ればいいでしょう!?どんだけ、寝相が悪いの!?」




〔★やはり使い方が残念だ★〕




「うはははは~なぁ、凛!服はこれええかー!?」




そう言って、自分の部屋に戻ると、なにかを抱えて戻ってくるヤマト。




「これって・・・」


「ほれ、わしのジャージと短パン!さらしは~ほれ!この包帯を今回は使うとええ!いけるいける!うはははは!」


「ありがとうございます。結構すぐに出してくれましたね・・・?」


というよりも・・・



「あの散乱した服の中から持ってきたんですか・・・?」


(洗濯してあるのかしら・・・?)




〔★凛は警戒している★〕




「失礼やで!ちゃんと洗濯しとるし、キレイにつかってんねん!」


「え!?中学のジャージなんですよね?着れるんですか?」


「うははは!着れるわけないやんけ!グラサンを包装するのにプチプチがのーて、代わりにつかっとったもんや♪」


「それを僕に着ろと!?」





〔★究極のリサイクルだ★〕




「大丈夫やって!引っ越し前に選択して、包装に使ってから使ってへんから!うはははは!」


「どこが大丈夫ですか!?ちょ、大丈夫ですか、衛生的に!?」


「グラサンを包んでから、その上からプチプチグルグル二枚とったから平気ちゃうんか?」


「プチプチあるじゃないですか!?」


「貴重品の包装にはたりないぐらいやっ!!」


「や、やまと!?」


「わしのサングラスにかける情熱、阪神タイガーズの選手強化合宿と同じぐらい必要な手入れやねん!!!わーったかボケぇぇぇ!!?」


「えええ!?す、すみませーん!」




〔★東西で違うらしい★〕




「大体、ダシだって真っ黒やねん!どないやねん!?」


「ご、ごめんね、ヤマト。僕も、阪神タイガーズを応援しますから。」


「うは♪そうならそういいやぁ~!今度、試合見に行こかー!?」




〔★ヤマトは機嫌を直した★〕





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