第9話 表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!(9)




「うははは!世の中には、防犯カメラに見せかけたダミーもあるやん?家賃も安いし、もうけやで!」



(不安だわ・・・)



ヤマトの部屋を使うことへのリスクよりも、そんなマンションに1人で暮らしているヤマトのことが不安になる。




「大丈夫なんですか、ヤマト?」


「平気や!わしのところに、変身セット置いとけば、学校から直帰で行けるやん!?わし、オーナーの息子とグラブってる仲やから、非常口の合鍵ももらってるねん!」


「ホント、働きなさいよ、オーナーの息子!!」


「まぁ見るだけ見てみぃや!ええゲーマーやで!」


「なんでゲームの話!?部屋の話じゃないんですか!?」


「うはははは!ほな、決定やな!今日からわしのところで着替えて行き!」


「いや、着替えられませんよ!服持ってきてないんですから!」


「せやから、さっきも言ったやん?わしの服があるって!上がだぼだぼでも、下は短パンやで~?」


「あ、それなら、なんとかなるかも・・・・」


「そうやろっ!?凛は心配ちゃんやなぁ~」


「ヤマトが気にしなさ過ぎですよ!ただでさえ、私は見た目で子ども扱いされやすいんですよ?凛道蓮スタイルで、ぶかぶかな大きな服着たら、それこそ・・・!」



服がずるかもしれない・・・!




〔★一部の人にはモテそうだ★〕




「ほな、その場しのぎで着替えて、それからロッカーで着替え直したらええやんけ?」



「なんかそれも手間な気がするけど・・・」


(悪い話ではないのよね・・・・)




嬉しいことに(?)ヤマトは、私を女子として見ていない。


だったら、男の子の1人暮らしの家に行ってもいいよね?




(なによりも、瑞希お兄ちゃんと会える時間が数分でも増えるならばそっちの方が良い!!)




〔★決め手はそこだ★〕




ヤマトのこと、信用してもいいと思っているから。




「ヤマトの家、あゆみが丘学園からは近いんですか?」


「ん~半々かのぉー?どっちっちゅーと、瑞希はんの方と近いなっ!」


「遠いですね。」


「せやから、家賃が安いねん!」


「ああ、そうかもしれませんね・・・あゆみが丘学園の周辺は土地が高いですから・・・。」




しかし、問題はそこではない。




「学校の連中にバレないように、菅原凛がヤマトの家まで行けるかが重要ですね。」


「ほんなら、バスで出来たらええわ!わしのマンションの地図、スマホでググれるからのぉ~!待ち合わせは、正面玄関でええやろ!?防犯カメラ壊れてるし!?」


「そうですね、今回は。」


「まぁ心配なら、非常口の鍵、貸そしたるわ!ほれ!」




そう言って差し出す銀色の鍵。




「ありがとうございます。マンションって、住人にも非常口の鍵を渡してるんですね。」


「そうかもしれんのぉー!みつぐ君に、魔法少女の激レアプレミアカードをあげたお礼やねん!」


「明らかに違法な気がしてきたんですけど!?」




〔★お礼の品のようだ★〕




「うははは!細かいことは気にするなやっ!」


「気にして下さいよ!?そのマンション、本当に大丈夫なのかな・・・!?」


「だいじょーぶやって!その代わり、凛も内緒やで!」


「非常口の鍵を使うことですか?」


「ちゃうちゃう!わしが内緒で、単車で通学しとることやっ!」


「え!?今さらそこですか!?」


「いくら金掴ませれば、大目に見てくれる学校や言うても、わしそこまで金あらへんもん!」


「大丈夫、うちも中流家庭ですから。」


「なんや!そうならそう言ってやー!あーよかった!」


「僕もよかったよ、ヤマトが友達で。」


「当たり前やん!わしら非公表やけど、大親友やんけ?凛のことは、死んでも言わへんで~!?」


「ありがとう、僕も絶対に言わないよ。大親友は初耳だけどね?」


「うはははは!ほな、これからは覚えといてやー!?」


「ええ、覚えておきます。」




その言葉で、どちらともなく笑う。


学校は、我慢する場所。


ツライことばかりだけど、まだ味方がいるから頑張れる。


それを思えば、ババア(井谷)からの呼び出しも素直に応じられた。







放課後、誰にも見られないようにヤマトの家へと向かう。


教えられたルートは、私が着替えを隠してるロッカーがある駅と近い。


途中下車して、歩いて探せばすぐだった。




「ここが・・・・ヤマトの家・・・・!?」




初めて来たヤマトの家は、私の想像と違っていた。




(予想外に高級マンションなんですけど!!?)




〔★金持ちオーラが出ていた★〕




人気は少ないけど、周辺はきれいな街並みだった。




ここに一人暮らしって・・・・本当はお金持ちじゃないの?


(単に自覚が内だけじゃないのかな・・・・?)




「おーい、ここやで!」


「ヤマト。」




私服に着替えたヤマトが玄関から出てきた。




「ヤマト、ここが・・・」


「わしの家やねん!」



どこからどうみても、立派な高層マンション。


いろいろ不安になる。




「大丈夫なんですか?」


「うはははは!大丈夫や!セキュリティーは万全やで!ちゅーても、今は防犯カメラが故障してんねん!普通に入ってええで!」


「安全面では大丈夫じゃないですよ!?」




〔★防犯意識が心配される★〕




「凛的にはラッキーやろ!?うはははは!姿が映らへんから!?」


「そうだけど・・・」


「うははっは!平気や!みつぐ君、昼寝してるさかい!」


「それもそれでどうなんですか!?」




〔★続・防犯意識が心配される★〕




「ええから、行くで!」



手招きされ、不安はあったけど、ついて行く。


人がいないか、見渡せば、防犯カメラが目に留まる。




「うっ!?」




ドキッとしてヤマトの背後に回り込む。


わかっていても、やはり体が反応してしまう。




〔★体は正直だ★〕




「なんや~ビビりすぎやで!?声も拾わへんわ!壊れてるからー♪うははは!」


「本当ですね!?信じていいですね!?」


「大船に乗った気でいーや!」


「マジだろうな、お前!?関西人!?お蓮のことが瑞希お兄ちゃんにばれて、フラれたあかつきにはケジメつけられんだろうなっ!?」


「何でマイナス思考やねん?あ、エレベーター来たわ!」




彼の背中にくっついて、乗り込む。


慣れた様子でボタンを押した。




「13階・・・ですか?」


「ええでぇ~見晴らしが最高やねん!」


「つき落とせば、確実に死にますよね・・・!?」


「誰を殺す気や!?わし見ながら言うなや!」


「ひみつを守るためなら、一人二人・・・・!」




〔★凛は疑い深くなっている★〕






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