思いを馳せるおはなし④
駅のホームには、
博物館に来たのは、古生物の勉強をするためだったはず。その目的は、迷子の登場によって果たされなかった。
しかし
「佐藤って、優しいんだな」
「え?」
「
「親戚の子が、同じくらいの年でさ」
「そうなんだ」
会話が途切れる。
二人は黙ったまま線路を見つめる。
沈黙が流れる。焦りはなかった。話さなければ、盛り上げなければと思うこともない。ただ、穏やかな沈黙がそこにあった。
無理に会話をしようとしなくてもいいのではないか。
「また来ような」
「うん。また来よう」
ちらりと
迷子の世話をしていた時には自然に握れていたのに、二人きりになると、どうしてこうもドギマギしてしまうのか、
「あはは、ごめんね」
引っ込めようとした
二人の関係性が「進化」する日は近いのかもしれない。
――――――
『思いを馳せるおはなし』おしまい
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