Chapter 5-6
急に明るくなって、僕は思わず目を閉じる。
「……眩しい」
「大丈夫ですか、宇佐美先輩」
「……うん。でも、目が開けられない」
「全くですよ! なんなんですかね、急に!」
眩しくてなかなか目を開けられない僕たちの耳に、どこからか大きな声が聞こえてくる。
「フワーッハッハッハッハッハッハァッ!!」
この声は……。
嫌な予感しかしない。声はだんだん近付いて来ており、持ち主が邸に向かって来ている事を示していた。
「あれは……!」
なんとか目を開ければ、ライトアップされた庭に、一人の男がパラシュートで降下している姿が確認できた。
「元気だったか、慎之介!!」
その男は開口一番、やたら大きな声で僕の名を呼んだ。
整髪料で整えられた髪、整った顔立ちに口ひげを生やした、スーツ姿のナイスミドルである。
いや、まあ、自分の父親にナイスミドルって言うのもアレか。
そうです、この人が僕の父・冴木
「父さん、どうして……って、まさか」
「皆まで言うな。君も薄々分かっていただろう?」
言葉を遮って来た三峰に問われ、僕は頷くしかなかった。
この人が関わっているんだから、それしかないだろうね。
「なんだ慎之介? 気に入らなかったのかね、我輩の用意したサプラーイズは!!」
父さんは天を仰ぐような大仰なポーズを決める。
誰もが反応に困っていると、父さんは独りでに話を進める。
「久しいな、真綾君。息災のようで何よりだぞ、うむ。そちらのお嬢さんは、慎之介の友達かね? 変な事に巻き込んで済まないね。だがこれも、年に数回しか会えない息子を喜ばせてやりたい親心なのだ。ご協力、感謝致しますぞ」
と、父さんは宇佐美先輩の手を取り、その手の甲に口付けした。
瞬間、僕の中のなんとか袋の緒がぷちんと切れた。
「なにをしとるんじゃこのくっそ親父がああああああああああ!!」
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