第78話

 その頃ウサギは小屋の中。ウトウトそべり、昼下ひるさがりのまどろみ中。

 そこへ突風とっぷうのように飛び込んできた大型犬が、ウサギの首根くびねっこをくわえると、小屋の外へ飛び出していった。

「なっ⁉ ツッチー、てめー、何しやがるんだ⁉ ……どうした?」

「笛の音です」

「はぁ?」

「由香里が発作を起こして笛を吹きました」

 ウサギを口にくわえた大型犬ツッチーは、矢のように由香里のもとへ飛んで行った。

 うっそうとした森の中、おいしげる草の中、たおれた由香里は虫の息。意識なし。

「由香里!」

 ウサギから人の姿になったアズキは、由香里に精をそそぎ込んだ……。そして由香里の意識が戻る前に、ツッチーに小屋に戻された。

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