第75話
「キィッヒー! 由香里は愛されない」
由香里はとっさに飛び
「由香里はキィッヒー! どんなに努力しても
全員が同じ服装。同じ体型、同じ声。口にはマスク、目にはゴーグル。頭に帽子、手にはグローブ、足にはブーツ。緑と茶色の
「キィッヒー! 由香里! 今までの努力を怒りに変えて殺しあおうぞ! 名を
迷彩の
「つっ、……ここから出る方法は? 出口はどこ?」
由香里の問いに迷彩は、キィヒヒと笑った。
「樹海はキィッヒー! 出口はない!
「たぎる怒りに身をゆだねキィッヒー! 殺す
迷彩柄のマスクとゴーグルに隠れた顔がキィヒヒと笑う。興奮をたぎらせて迷彩柄が刀を
「逃げるなキィッヒー! 来いよ由香里! いい子に逃げて
「キィッヒー! それは怒りと
「それではキィッヒー! 失ったものは何だろな?」
「表情キィッヒー! 自分の感情。そして感覚。己自身」
由香里は声を無視して、ひたすら
「キィッヒー! 己を
「由香里はいらない。必要ない。由香里はキィッヒー! 待つ者もいない。居場所もない。帰る家もない。家族も誰も。愛もない。キィッヒー! わかっているのだろう? キィッヒー!」
そしてやがて、由香里は気づいた。由香里がかわせずよけきけず
ゾッとした。由香里の背筋が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます