第72話
「アズキ、ただいま」
由香里が帰ってきたー! アズキは大喜びでとんでいった。
「お帰りっ⁉ って、その髪どうした⁉
「ああ、これ。切った。
由香里は
「うっ、うっ。由香里の見た目が男の子になった」
「由香里、
「あ、うん。ありがとう、ツッチー」
由香里はツッチーを抱きしめなでなでした。大型犬ツッチーはすまし顔、
「ふぅ~」
由香里はゆっくりと湯の中へ体を
「痛いか? めっちゃ瘦せたんじゃね?」
「少し、しみる。でもいい湯」
由香里はトロリとした湯を両手ですくった。
「なぁ、由香里。その髪、なんでそんなに短くしたんだ?」
アズキを乗せた
「どこへ行っても男ばっかり。だから目立たないようにした」
「女はいなかったのか?」
「いたけど……全員ヤバかった。女を
「なるほどな。でも今の由香里だと逆に、男好きの男が言い
「はじめの頃はきたけどね。でも今は気づかれなくなつた。ナルシィには、隠れずに前に出て戦うのだ、って言われるんだけどね」
由香里は、ふわぁ~とあくびをした。湯の中で眠りそう。
「隠れるってのは高度な技術だぜ。戦わずに逃げるのも生きる
風呂桶の中にちょこんと座ったウサギがドヤ顔で胸を張る。かわいい。でも一気に叩き潰されるだろうなぁ。なんせウサギは最弱だから。由香里はウサギを抱きあげ風呂からあがった。そして脱衣所で血を吐いた。
あぁ、またか……。血に
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