第69話
「その時わしは石の森を歩いておった。世界は灰色
「黒? 夜の
「いや、石の内側だ。いつの間にか、わしの体は石になっていたのだ。石の内側は
「つながっていた? どういうことだよ?」
「うむ。心が魂がつながっている、という感覚があったのだ。このままここで、懐かしい者たちと共に一緒に
ナルシィは、むふぅ~、と息を吐いた。
「わしは若かった。何も知らぬ、
ナルシィは胸に手を当てた。
「気づくとわしは、森の中にいた。目の前を白い
「その光ってのは何だったんだ?」
「うぬ。わからぬが、女神だったのかもしれぬな。古い言い伝えに、女神を失ったモルモフは静かに眠り新しい女神を待つ、とある。滅びぬために眠る、と」
「……じゃあ私はどうすれば、石の眠りを
由香里の問いにナルシィは少し考えてから答えた。
「ふぅむ。生きること、だろうな。うむ。女神が
「それじゃあ私は殺されないように強くならないと、ですね。武術の修業に
「うむ。よい心がけだ」
ナルシィはかわいい弟子に目を細めた。
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