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「レイスだね」
ルシウスは平然と言うけど、私は怖ろしすぎて硬直していた。
【名称】レイス
【真名】???
【種族】魔霊
【性別】メス
【魔物ランク】C
【スキルA】生命力吸収
【スキルB】恐怖呪縛
【スキルC】怨嗟ノ声
【スキルD】???
ギャー! 見たくもないのに見ちゃった!
恐怖呪縛って、私スキル攻撃受けちゃってるんじゃないのこれ⁉
長い黒髪に真っ白い肌ってなによもう!
初めて見たけど、あれ完全に和風の幽霊じゃないの!
あと、メスって何⁉ そこは女にしてあげてよ!
レイスは目を見開いて、何か言いたげに口を開き、こちらに向かって手を伸ばす。
私はそのあまりの悍ましさに「ひゃあっ」と悲鳴を上げてルシウスの背に隠れる。
「ああ、あああ、ああああ、ああ」
「ルシウス! 怖い! 早く何とかして!」
「アハハ、そうだね。僕もあの声は苦手。精神に堪えるよね」
ルシウスが眩く輝く光の魔法を使うと、レイスは一瞬で蒸発する。
もう、本当に勘弁してほしい。頼むから帰り道では出ないでよね。
それと、出るならせめて男にしてよ!
女はもう、ジャパニーズホラーの有名どころとそっくりで嫌!
「ルシウス! レイスって武器は通用するの⁉」
「祝福された武器だと攻撃できるみたいだよ。土以外の魔法武器でも大丈夫だね」
私は今使っている小太刀を祝福してもらうことに決めた。
あんなのに丸腰状態なんて怖ろしくてやってられないわよね。
あ、でもディーヴァを呼べばいいのか。浄化で消せるって言ってたもんね。
それならまぁ、安心だけど……。
いえ、それにしても怖かったわ。
この洞窟で遭遇した最初の魔物があんなのとは思わなかったわよ。
進行方向に出現する魔物だけを相手にしているから、戦ったのは今のレイスが初めて。枝分かれしている道も、結果的に同じところに繋がっているものもあるので、赤い光が見えた場合はルシウスに確認を取って、魔物との戦闘を避けている。本来、こういう場所は大人数で入るのが普通らしいので、極力消耗しないように努めている訳だ。
それから更にしばらく進むと、段々と《助けて》という声が遠ざかった。
そのことをルシウスに伝えると、地図を見て頷いた。
「たぶん、声の主がいるのは、二つ前の道の先にある部屋だね」
私も地図を見せてもらう。一つ前の道は、現在進んでいる道と辿り着く場所は同じ最奥。三つ前の道だと、もっと早くに声が遠ざかってないとおかしいってことね。
「じゃあ、急いで戻って帰りましょ。もうやだここ」
「それなら、アスラに頼みなよ。その方が早く済むよ」
あ、そうか。ルシウス天才じゃないの。
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