黒いもの
手かせ足かせをつけられ、ピローとオウルに支えられているRRAI。時折いやがらせか、ジュドーがスタンガンを当ててくるのでそのたびに意識がもうろうとしていた。意識が覚めるたびに、それに抵抗するように彼女は嫌味を吐いた。
「私は、あなたたちと同じように予言ができる」
「このままだとあなたたちの仲間の誰かが必ず死ぬ」
「組織は隠し事をしている」
だがジュドーはその言葉に聞く耳をもたなかった。むしろ彼自身にこそ迷いがあるように額から汗をながし、耳をふさぎ、迷いを打ち消すようにRRAIに痛みを与えた。
何十回とそれが繰り返されたあとで、RRAIはまるで諦めたかのように別の話をし始めた。
「彼女らには私の話が理解できる、特殊離反者も、隠し事や秘密は多いが、何が起こっているか理解しているのよ、あなたが“RRAI”と呼ぶものは、人間と全く異なる存在じゃないこと、そのうちなあなたたちも理解し、組織の腐敗に気づくことでしょう、別にそれはいいのよ、あとで気づけばいいのだから、けれど、今は彼女たちと“最後の会話”をさせてほしい、きっと彼女らは、私の忠告を無視してここにきてしまう、だからそこで私は耐えきれず……悲劇を、悲劇を目撃する」
ピローとロウルはジュドーの後ろにいたのでジュドーは振り返りつつRRAIに、今度は皮肉のためか、ゆっくりと説明をはじめる。
「私が受けた命令は二つだけだ、ザドとレアをつれかえり、RRAIをそのために利用する、お前たちRRAIは存在そのものが悪で、人間を取り殺そうとするが、我々人類はそうではない、似た点など存在しないのだよ」
そういいながらジュドーはRRAIに再び特殊銃のスタンガンで電撃を浴びせる。
「ぐああ、ぐああ!!!!」
RRAIは叫び、弱り、意識を失っていくなかで、ジュドーの後ろの木の後ろに黒い人影を見た気がした。
一方ザドとレアは、指定された場所まで急いでいた。だがその道中いくつも野良アンドロイドの現れる危険なゾーンがあり、その中でもっとも安全なゾーンを選んだ。
ザドを先頭に、レアが周囲を確認しながら急いで移動していたが、あるときレアが叫んだ。
「お姉ちゃん!!」
ザドは嫌な予感がして振り返る。
「これ……」
レアが、モニターの大きなタブレット型端末に変化した彼女のドローン“レミラ”を姉に見せる。ザドがそれをみると、自分たちの座標がマークで示されるその周囲に、赤い点……敵がわんさかと取り囲んでいる様子が写しだされた。
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