仲間

 ザドとレアはその後、なんとか無事にネッドの拠点へと戻った。ネッドへの説明はレアが引き受けたが、説明を部屋できいていたネッドは顔色をかえ、部屋からでてくると、ザドを厳しく問い詰めるのだった。

「ザド、君は、僕を脅してまで計画を早めた」

「ええ」

「それで、何の結果も持ち帰らなかったという事か」

「そうね」

「いいだろう、僕は君にチャンスを用意した、僕は君にチャンスを与え、それにいくらか寛容にふるまってきたというのに、君という人は!!僕の計画通りにすれば、失敗しなかったかもしれないのに!君はRRAIの事を信用した、僕ではなく」

「返す言葉もないわ、けれど、あなたの事は知らないもの、裏切りものだという事しか、お世話になっているけれど、私はあなたとRRAIの事を半信半疑で情報を探るしかないの」

「くっ!!」

 柱をこぶしの底でたたくと、ネッドは部屋に帰っていった。


「お姉ちゃん、心配しないで、パパは」

 しばらくクローラが彼女につきそい、庭の木の下で一緒に休んでくれた。彼女のおかげで、ザドはいくらか落ち着きを取り戻すことができたのだった。

「そういえば、あなたとネッドはどういう関係?」

「え?」

「きっと本当の娘ではないのでしょう、あなたは」

「よくわかったね」

「髪の色、目の色、全然違うもの、あなたは金髪で黒い眼をしていて、ネッドは黒髪で黒い眼、面影もない、もし母に似たとしてもあの男が娘を作るとも思わないわ、可能性としては……きっとあなたはみなしごかしら」

 そしてクローラは、ザドに昔の事を話し始めるのだった。


 レアは、エリーの部屋につれられてベッドに横たわり、負傷した足の治療をうけていた。

「ごめんなさい」

 と謝りつづけるレアに、エリーは

「大丈夫、ネッドはまだあなたたちを完全に見放したわけじゃない」

 というのだった。


 ダズは、ネッドの後をおって、彼の部屋兼研究室に入っていった。

「どうしますか?」

 ネッドはけだるげに後ろを振り向きつぶやく。

「……君か」

 キーボードをはじいたり、資料に目を通したりしたあとコーヒーに口をつけ、頭をかかえてぽつりとつぶやく。

「彼女らの監視をつづけてくれ、まだ有益な使い方があるかもしれない、RRAIに何の考えもないわけでもないだろうし、必ず接触してくるはずだ」


 一方アデルは、負傷したジュドーを背負いながら、ようやくクラックス・ガーディアンズ日本支部拠点にたどりつくのだった。エージェントに抱えられ、治療室に運ばれていくジュドーを見送ると、支部長がアデルに“会議室”にくるように連絡した。その通りにすると、モニターには、“クラックス・ガーディアンズ代表“ディリア・ロード””の顔があった。


 療養を終え、長い睡眠と目覚めを繰り返したあと、レアがめざめ立ち上がり外にでて活動を始める頃には、すでにRRAIが人型に化けてから20日が過ぎていた。

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