相談
「妹は、2日前から音信普通、別の“老人”を探していた、RRAIのいう“ヒント”につながる人物だってことで、いまはそれしかいえないわ」
アデルはベンチにすわり膝の上で手をくんで、話をきいていた。
「そりゃ大変だな、君が助かる可能性が……妹は優秀だからなんとかなるだろうが、早くしないと、俺意外の奴も君を探しにくる」
「え?私の事を気にしているの?私は……」
「いや、助けようとおもって、あまり怪しまれてもまずいから長居はできないが」
「妹のいった場所の手がかりがわかればいいんだけど、これが渡された情報よ」
ザドはアデルの隣で時計型の端末でホログラムに地図を投影する。覗きこむアデル。
「どれどれ」
アデルは一瞬驚いた顔をした。
「ここは、かつて違法化アンドロイドたちが暴れていた場所だ、今は沈静化しているときいたが、地下深くにもまだその残りがいるかもしれない」
「あ、まって」
その時多機能携帯端末“ドローンフォン”の音楽がなった。
「妹からだわ……いまどこに?うん、とりあえず私が合流すればなんとかなるのね」
電話後
「いきましょう」
と勢いよく先導をしようとするザドにアデルは再び質問した。
「妹が見つかれば妹とともに組織を裏切る気だな?そこまでする価値があるか?」
「あのRRAIは特殊な情報をくれた、まだ何か握っている可能性が高い、彼女は、私たちの誕生と、彼らの誕生に関係があることをにおわせていたわ」
その後、二人はリーダーのアデルの案内で、目的の場所へ移動した。その場所というのが妹が目指していた場所から少しはなれたところにあった。道中、二人は昔話をしたり、近頃のチームの話をしていたが、その途中で、アデルは、妹の話をもちだした。
「君は妹とべったりだったな、僕にいわせれば、君の能力も引けを取らないほど優秀だが、」
「やめてよ、私は彼女には及ばない、私の宝物、だから組織を裏切る事をきめたのだから、私自身がどうなっても……」
「自分が大事なのでは?」
「妹だけよ、私の宝ものは妹だけ、彼女に害がないのならこんな事はしない」
「ふむ……正直それをきくまで連れ戻そうかと思ったが、君の大事な事のためだ、それをつらぬけ……こっちは俺がなんとかする」
そういいながら、アデルは銃を抜き背後を振り返り迷わず射撃した。撃たれた人型の何かはひるむ。
「グウォオオン」
そして口をあけた。その体や口は鉄骨がむき出しになっており、古びたアンドロイドだとわかった。その背後からわらわらとゾンビのような動作でその仲間たちがこちらにむかってくる。
「アデル!!」
「いいからいけ!!」
走りさるザド。
「フッ、ハアッ」
《ズキューン、ダダンッ!!》
ものの十五分もかからず、アンドロイドの群れは、地面に倒れていた。そして後ろ、ザドの言った方向をみてアデルは一言呟く。
「元気でな、ザド」
《ウィーン・ウィーン》
携帯端末型ドローンが球体の形状になり、宙にういている、緑色のそれはサブリーダーのジュドーのものだ。ジュドーがアデルとザドの様子をドローンを通してみていたのだ。
「チッ」
カメラの向こう側、本部の傍の廃墟で、ジュドーは舌打ちをした。
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