決闘後
公園のベンチに腰掛け、二人は手持ちのボトルの水を飲む。
「どうして私を追ってきたの?」
「勘違いするな、誰にもいっていない、お前と俺の秘密も」
「秘密?秘密なんてない」
「これも一つじゃないか、俺たちは、わかりあってなどいない、こうした決闘によって、お互いを彼らより深く知ろうとしていただけだ、チームワークより」
「お互いの意思の尊重、あなたに教えてもらったみっつのことの、みっつめ」
「それに決闘にまけたからにはお前の話に耳を傾けてやる必要もあるだろう、俺たちの中ではそれが絶対だ。」
「ぷっ」
組織を無断で抜け出したのに、まだアデルとのコミュニケーションの“ルール”に自分が保護されるなんて、ザドはアデルにわからないように少しわらった。
「俺に話せ、何があった?お前はこれからどうする」
ザドは少しのびをして、アデルの顔と公園の中心を二度往復したあと、話始める決心をして深く深呼吸をした。
「……あなたは本当に組織の全てを信用している?何か、隠されている事があると思わない?例えば、クラックスの死者、負傷者が本当に“彼ら”に遭遇した結果ではないかとか」
「何がいいたい?すでにクラックスにもRRAIの犠牲者がいるといいたいのか?」
「そうであってもおかしくないわ、現に彼女らは私たちに化けた」
「何??」
「え?あなたそれも聞かされていないの?ますますおかしいわね、私は、だから逃げているのよ」
「……」
「どうやら助かる方法があるみたいなの、私はどうなってもいい、必ず30日過ぎたら、彼女を確保して戻ると約束する、私の人生をかけて、だからそれまで少し時間を稼いでくれないかしら」
「うーむ……」
そういって立ち上がるアデル、背中をのばし、少し風景をながしみた。
「だが、なぜそこまでする?確かに死の危険はあるが……俺たちは……」
アデルは自分の目の前で右手のひらにぐっと力をいれ、それに左手をかさねた。
「俺たちはつねに危険に接している、そもそも俺たちの寿命は人の半分にも満たないじゃないか」
「私はそれでも不満があるのよ、今までは、そうでなかったかもしれないけれど、あの日唐突にRRAIが私たちに化け、そういう可能性あがると理解できたとき、少し時間がほしくなかった、そもそも私には、頼るべきものも大事にするべきものもそう多くはなかった、だから」
「俺に一つ相談があってもよかったじゃないか」
「なぜ?」
「なぜって、俺たちの関係はあの夜……」
アデルは少し顔を背け斜め下に目をやる。
「??あの夜?もしかして、一度関係をもったこと?でもただ、それだけじゃない」
「それだけって……え?」
アデルは髪の毛をかいて、少し沈黙で答えたのだった。
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