Ⅳ

 

 ローカルニュースを、やっていた。こうやって、見ていると広島も良いところだな~と、思っている内に直ぐにお決まりの暗いニュースが画面に賑わした。やれどのそこで交通事故があり三人が死亡しただの、DVに関わる諍いで、親が子を死なせてしまっただの、夫婦で殺人事件があっただの、そんな暗いニュースに変わった。その辺りは、どこの地域でも変わらないんだろうな。と、考えてビールを一気飲みした。くわえタバコで、何となくビールを注いでは、ちびちびとのみ始めた。そして、何となく天井を見上げると、なんと、天井に人形になった影が張り付いたようになっていた。もちろん本当に人が張り付くわけがないから、単なるシミと言うか影と言うか、まぁそんなものが黒いシミとしてあった。あれは何だろうな~と思った。そして、テレビの下らない番組を見ていると、女将さんがお膳をもって上がってきた。そうかもう夕食の時間になったのか。女将さんは飯台の上に夕飯を並べ始めた。まぁ安い民宿なのだから豪華とは言えなかったが、魚の一夜干しみたいなのと、穴子を焼いて短く切ったものがあった。後は味噌汁と、オシタモノがあった。そこに多分旦那さんだろう。皿に焼き牡蠣を五つ程乗せて上がってきた。湯気がほかほか出ていて美味しそうだった。そして、配膳を済ますと、御主人らしき人は階下に降りていった。女将さんは、飯台から少し離れた所に布団を強いていた。俺は

「女将さん、後ビールを日本持ってきて」と、頼むと、

「ハイよ!」と言って、階段を降りていった。結構旨かった。旅に出たという感じが身に染みてきた。それにしてもこの建物も古い建物だな、大きな地震がきたら一発で崩壊するだろうな。そして、女将さんが二本ビールを持ってきてくれた。

「ハイよ、お待ち堂さま」と食卓の上において、線を開けて俺のコップに注いでくれた。

「有り難うさん。ところで女将さん、あの天井のあの影は、何ですか?」と、天井を指すと、

「あぁ、あれはね私も聞いた話なんだけども、旦那の兄の子供で生まれつき体が弱くて、真っ白い色をした好青年だったらしいんだよ。戦争の徴集令状も来なくてね、父親は戦死して、母親も病気で亡くなったものだから、私の旦那が世話を見ていたんだがね、その子は春日井典昭と言ったのだがね、実はそこの窓に飼っていた猫をだいて外を見ていたんだよ、正にその時だよ❗ ピカドン、原爆が落とされた瞬間でね、その光を浴びて、あんな風に天井に影として残ったそうだよ」

「えぇ、そんなにも凄いものだったんだね」

「そりゃそうさ、何せあの原爆ドームを見てごらんよ、凄まじさが解るだろ」と、説明をした後、女将さんは来たに降りていった。俺はそんな部屋に眠るのか。と背筋がゾッとしたけど、仕方ないわなと諦め、再度気味の悪い天井を見上げた。 

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