風真燕時
「ってことで、今日から
「「ふっっっっっざけんな(ですわ)!!!!!!!!!」」
ですよね~。
早速、風真さんをうちに連れ帰って、
なお、
「勇者軍でセクハラの限りを尽くしたスケベ親父じゃないですの! 絶対お姉さまに変なことしますわ!」
「お前ら女どもはどうでもいいが、ご主人にまで手を出そうとしていたことは許せん。今ここで燃やす」
「え~~~~、おじさん、めっちゃ嫌われてるじゃん。なんで?」
「むしろ、好かれる要素ありました?」
「人間性はともかく、腕は確かだ。置いておくだけなら損はないだろう」
「その人間性と腕を秤にかけた結果、勇者軍を追放されたのでは?」
「そうですわ、お姉さま。お姉さまの決めたこととは言え、この害虫と同じ家に住むのはお姉さまにとって危険すぎます」
「でも、メイが守ってくれるんだろう?」
「お任せください!」
「あれ~~? メイさん~~~~?」
「ふん、ババァじゃ頼りにならないな。俺は絶対認めないからな」
「確か風真家と言えば、有名な忍者の家系だったな」
「忍者!?」
「うん、そうだよ~。おじさんが使うのは魔法じゃなくて、忍術だね」
「ぶ、武器は何を」
「クナイに手裏剣、鎖鎌などだね」
「師匠と呼ばせてもらってもいいですか!?」
「
ダメだ。この2人、チョロすぎる。
でも、忍術はちょっと気になる。僕も使えたりするのかな。影分身とかちょっとやってみたい。
それで僕の代わりに学校行ってほしい。
「では、満場一致で
「待って。
「すでに許可は取ってある。居候の身だから自分が口を出すことではないということだ」
「意外と大人な反応。あそこの2人の方が年上なのに」
「あ~~~、酒切れた。ねぇねぇ、少年。氷結買ってきて。あ、ストロング以外で。あれ度数高いから~~~。お金は~後で~渡すよー」
「味とかにこだわりないんですか?」
「味よりアルコール! アルコールあれば、なんでも解決できる。国の税金も、就職活動も、老後も全部アルコールが解決してくれる!」
「それは解決ではなく、問題の先送りでは?」
「もう、なんだっていいじゃん。はやく~お酒~」
「第一僕は未成年ですから買えないです」
「ちぇ~~、日本不便だなぁ~。じゃあ、
「箱で買ってきます!」
この人、もう
「じゃあ、おじさん、部屋でゆっくりしたいんだけど、どこ使っていい?」
「ネームプレートのない部屋ならどこでも」
「あ~~~い」
風真さんはふらふらとした足取りで2階へ上がっていく。
「ねぇ、あの本当に大丈夫なの? 不安しかないんだけど」
「さっきも言ったが、腕だけは確かだ」
「って言われても、あの人のこと良く知らないし、勇者軍の幹部と言われてもピンとこない」
「ふむ、そうだな。勇者軍を知るという意味でも説明しておいた方がいいか。メイ、頼めるか?」
「お姉さまの命令であれば! では、あなたは勇者軍についてどこまで知ってますの?」
「勇者軍について? う~ん、魔王軍に対抗するために出来た軍隊で、所属する兵士たちは国関係なしで地球連合軍みたいな感じ?」
「ええ、その認識であってますわ。勇者軍の支部は全世界に45か所あり、国籍に関係なく実力のある人たちは軍に所属しており、昨日の時点では1250万1086人が勇者軍として登録されていますわ」
「数字細か! それ全部覚えてるんですか!?」
「メイの記憶力は突出しているからな。彼女以上の知識、データを持つ生物は他にはいないだろう」
「ふふん!」
めっちゃドヤ顔!
「それにしても1000万人もいるって、めっちゃ人いますね」
「いいえ、少ない方ですわ。本当に腕の立つ人間しか入隊を認めていませんので。制限なく入隊を許可していたら、恐らく1億人は超えますわ」
「お、億……。ってことは今入隊している人たちはその上澄みってことですよね」
「ええ。そして、そこの最高戦力に与えられる称号があなたも知る勇者ですわ」
「称号? あれ? でも、確か前にプリムラが勇者の魔力は星属性って言ってたけど、勇者になれるのは生まれつき決まってるんじゃないの?」
「いいえ、星属性は持って生まれることはありませんわ。天使族の手によって、勇者の適性がある者の魔力を星属性に変えるのですわ」
「へ? 天使族?」
何それ初めて聞いたんだけど? 天使って実在するの?
「ですが、この辺の話は今回関係ないので、割愛しますわ」
「ああ、うん……」
めっちゃめっちゃ気になるんだけどなぁ。
「その勇者には側近として5人の部下がついています。彼らの役目は常に勇者と共に最前線で指揮をし、誰よりも多くの敵を倒すことですわ。そして、勇者を含めた彼らのことは勇者パーティと呼ばれていますわ」
「うん、それは知ってます。でも、その部下って4人じゃ? それに風真さんの名前もなかったような?」
「当然ですわ。彼の主な仕事は諜報。世間一般に顔バレしては仕事が出来ないですもの。つまり、彼は世間には知られていない6人目の勇者パーティメンバーですわ」
「幻のシックスマン!?」
とういうか、世間一般的に知られていない情報をなんでこの人たちは知っているの? いや、まぁ、この人たちならもう何でもありか。
「なんか、それ聞くと風真さんてもしかしてすごい人ってなるんですけど?」
「戦力で言えば、間違いなく勇者軍の上位6人に入ってますからね」
1000万以上いる人たちの中で上位一桁……。
「そんな人がここにいていいんですか!?」
さっきまでとは違う意味であの人がこの家に住むことに不安を持ってしまった。
「この家で酒飲ませてダラダラさせてるのは人類の損失では!? 多少のセクハラくらい見逃してもらえそうですけど!?」
「さっき言いました天使族にセクハラして怒りを買ったと聞いていますわ」
「何やってんですか、あの人!? 今すぐ、僕が連れてって許してもらいに行きます! 土下座は得意なんです!」
「いいのか? 勇者軍本部はメキシコだぞ? 既に南アメリカを領地にしている魔王軍との最前線だが?」
「あ、あ、あの、プリムラさんもついてきてもらえますか?」
「私は彼がうちに入ってくれる方がありがたいから、勇者軍に戻すようなことはしたくない」
「じゃあ、やめます」
「あなた、諦めが早いですわね!?」
「だだだだだだって怖いじゃないですか!」
風真さんには悪いけど、勇者軍に戻すことは出来ないです。ごめんなさい。
でも、勇者軍は大丈夫かな? 追放系あるあるだけど、風真さんみたいな人がいなくなった瞬間、組織が回らなくなったりするんだよね。
あの人がここにいるせいで人類即敗北とかならなければいいんだけど。
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一方、勇者軍では。
「報告します。以前退職した女性たちからの再入隊希望が殺到しています。また、諜報部間でのコミュニケーションが以前よりスムーズになり、業務進捗が先月より40%増です」
「報告、ありがとうございます。やはり、セクハラする輩は即座に切り捨てるべきですね。今後も似たような事例があれば、すぐに報告するよう全軍に通達をお願いします」
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