おまけエピソードⅣ

 白撫しろな憐太郎れんたろうの家に来る前のこと



憐太郎 「ねぇ、その格好で本当に外に出るの?」

白撫  「何か問題でもあるかのう?」

憐太郎 「警察に捕まる。僕が」

白撫  「じゃが、わしはこれ以外の服を持っておらぬ」

憐太郎 「逆に今までどうやって外出してたのさ」

白撫  「このまま」

憐太郎 「いやいやいやいやいやいやいやいやいや。お巡りさんがほっとかないでしょ」

白撫  「顔見知りじゃ」

憐太郎 「やっぱ職質されてんじゃん」

白撫  「そんなに不安なら人目につかないルートで行けばよいじゃろ」

憐太郎 「そんな都合のいい道なんてないよ。バットエンド直行だよ」

白撫  「なければ作ればよい。わしは今までそうしてきたぞ」

憐太郎 「作るって言ったって。道を? どうやって? どこに?」

白撫  「地上で開拓できる場所はなし、空は人目につくから論外、そうなると」

憐太郎 「まさか」

白撫  「地下しかあるまいよ」

憐太郎 「掘るの!? 何カ月かかるのさ!?」

白撫  「数十分じゃ。わしの作った穴掘りの達人3.2879号なら」

憐太郎 「そのネーミングセンスと小数点付きナンバリングにはツッコんだ方がいい?」

白撫  「この工場に二度とこないわけではないしのう。おぬしの家とここを繋ぐ秘密の通路は元々作ろうと思っておった」

憐太郎 「無視ですか。そうですか」

白撫  「この方法なら警察に捕まらんじゃろう」

憐太郎 「別の法律に引っかかってる気がするけど?」




 そうこうして、憐太郎の家と白撫の工場は秘密の地下通路で繋がることになった。

 その後、白撫の開発した移動楽々君と言う名の乗り物によって、ほんの3分ほどで行き来出来るようになった。

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