NLだろうがBLだろうがGLだろうが全てはワタシの思うがまま

――翌日。


「で、なんだって? 憐太郎れんたろうハーレムに新メンバー加入?」

「委員長、真顔でとんでもないこと口走らないで」

 教室に入って早々面倒なのに絡まれてしまった。

「じゃあ、彼女は一体何だって言うんだ? 君たちと一緒に来たじゃないか」

 委員長は僕やプリムラの後ろにいるメイさんを指さす。

「いや、あの人はその……」

 言葉を慎重に選ぶんだ僕。ここで下手のことを言えば、カプ厨の養分にされかねない。

「メイはね~、あーしの妹だよー」

「ほう、つまり姉妹丼と言うわけだな」

「推理漫画の探偵っぽくしゃべるのやめて。現実味帯びてくるから」

「そうですわ。わたくしが好きなのはお姉さまだけですのよ」

「っ! 姉ギャル×妹お嬢様……だと……! 姉妹百合……ごくり」

「な、なんですの。この方は……」

 委員長の反応が気持ち悪くてメイさんは少し引いていた。

「君たちの馴れ初めを知りたいんだが、今週末時間はあるかい?」

「どうして、あなたにそのような話をしなければなりませんの? それから、週末は予定がありますの」

「君たちをモデルにした百合漫画を描きたい」

「週末の予定が空きましたわ。これ、わたくしの連絡先ですわ」

 この流れ昨日も見たぞ。

「あなた、ツイ〇ターやってますのね。鍵垢でフォロー失礼しますわ」

 なんか、サラッとファン増やしてるし。

「おい! 待てよ!」

 と、さっきまで大人しかった梗夜きょうや君が声を上げる。

 なんで学校にいるの? 君生徒じゃなかったじゃん。なんて、ツッコむ気すら起きない。だって、どうせこれから毎日ついてくるだろうし。毎回ツッコんでたら行数が勿体ない。

「ああ、そうか。君にはまだツイッ〇ーアカウントのことは教えてなかったか。ほら、これだ」

「違う! そうじゃねぇだろ!」

 お? 梗夜きょうや君ツッコミに回る? そしたら僕の負担が減って楽になるんだけど。



「ご主人を主人公にした漫画を描くって約束したじゃないか!!!!」



「は?」

 今なんておっしゃいました? 聞き間違いじゃないならとんでもないこと言いだしてるんだけど。

「心配はいらない。既に単行本3巻分描けている。来週からツイッ〇ーのほうで連載予定だ」

「よし、フォロバよろしくお願いします!」

 ファン2人目追加……

「じゃなくて! 梗夜きょうや君、これどういうこと!?」

「何って決まってるじゃないですか。ご主人の勇姿を題材にした漫画を描いてもらってるんですよ。ちなみに、ご主人の側近として俺も出るらしいです」

梗夜きょうや君、分かってる? 君はとんでもないことをやらかしたんだよ?」

「ご、ご主人……? い、いつにも増して目がマジなんですけど……」

「いいかい? 彼女が描くものは少年漫画的展開でもなければ、異世界転生ものでもない。彼女が描こうとしているもの、それは……。



B L だ よ !」



「BL……」

「そうだよ! 今すぐ彼女を止めなきゃ、僕らの黒歴史が彼女によって生み出されてしまう。そうなったら、もうお終いだ。僕らはこの先、その傷を一生背負い続ける」

「それって、つまり男同士の……その……恋愛って、やつ、ですよね……?」

「ん? あれ?」

 なんか梗夜きょうや君の反応がおかしい。

 もじもじして、顔を赤らめて……どうしよう、嫌な予感しかしない。

「すみません! 恋羽衣こいわい先生!」

「なんだい、ワタシのファン」

「原稿頑張ってください!」

 あーあ、これ何かに目覚めちゃってますわ! もう、僕一人じゃ無理だーああーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーああー


「みんな騒がしいよー。席についてー。ホームルーム始める……よ?」

 チャイムが鳴り、担任の夢咲ゆめさき先生が教室に入ってきた。

 けど、いつもと違う教室の雰囲気に夢咲先生は首を傾げた。

「メイドがいる!?」

 一般的な反応。そうだよね。そうなるよね。

「え? なに? うちのクラスお金持ちの子いたっけ?」

クラスの子ではないが梗夜きょうや君がそうだね。

「初めまして、わたくしはメイ・R・ブーゲンビリア・セレスティアナイトですわ」

「え、あぁはい…………てか、名前なが!」

「本日は授業参観で来ました」

「あーはいはい、授業参観ね。……って今日そんな予定聞いてないけど?」

 先生ー、僕もー、僕も聞いてないー。

「でうぉ! 昨日の不良君も一緒にいるじゃん。なにこれ? ねぇ、説明して。唯野ただの

「え、なんで僕?」

「だってこれら全部君の仕業だろう?」

「いいえ、違います。知らない人たちです」

「えーどうしてそんなこと言うの~。昨日の夜のこと、忘れちゃったの? あーしはレンタローとメイに仲良くなって欲しくて、夜に……さ、その……さ、……ね? みたいなことをさ。それなのに仲良くないって、レンタローダメだよ。男の子なんだから、責任取らなきゃ」

「プリムラさん、今すぐ誤解といてください。女子から殺気を感じるんですが」

「あははー、なんでかなー」

「誤解を招く言い方をしたからでしょ!」

 全くもう……。



 どうして、彼女が学校に来ているかと言うと、

 それは前日の夜に遡る。

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