地雷持ち過激派カプ厨
「はははははは! なんだこれは!!!!! オッドゲイル! いいようにやられてんじゃねぇか!」
サラサラの金髪に鋭く尖ったつり目。高校生くらいの不良の中に混じってそうな感じの魔族だった。
「アルフレッドか。何の用だ?」
「おめぇの尻拭いに来たんだよ。クローバーの魔王候補は見つかったんだろ? どこ行った」
「それを知ってどうする?」
「殺すに決まってんだろ。そして、うちのボスが魔王になる」
「はぁ~」
止めても無駄だと判断したオッドゲイルは
「サンキュー」
それだけ言い残し、アルフレッドは颯爽と
「多分、無理と思うがな」
アルフレッドに聞こえないほどの声でオッドゲイルはそう呟いた。
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「おー、いたいた」
2人は話していて背後を取っているアルフレッドには気づいていない。
「オッドゲイルは手際がわりぃ。殺すと決まっているなら、暗殺が一番スマートだ」
アルフレッドは呼吸を整え、風景に溶け込むように気配を消す。
「あっけねぇが、これでしめぇだ」
服の中に隠し持っていた短刀2本を構え、2人の首元めがけて投擲……しようとした瞬間だった。
「っ!」
気味の悪い殺気を感じ、アルフレッドは咄嗟にその場から飛びのいた。
「なに……!」
しかし、反応しきれなかったのか。アルフレッドの髪が少し切られ、空を舞う。
「手を出さないでくれるか。――――推しカプなんだよ」
穏やかな口調。
しかし、それとは裏腹に溢れ出る肌を突き刺すような殺気にアルフレッドは少しだけ冷や汗をかいた。
「竹刀……? あれで切られたってのか?」
それでもアルフレッドは敵をよく観察する。
そこに立っていたのは竹刀を持った女子高生。だが、どう見ても普通の人間と大差ない。
にもかかわらず、アルフレッドは少し警戒していた。
「俺様の背後はそうやすやすとはとれねぇぞ。何しやがった」
「なにも? ただ、あえて理由を挙げるとすれば、私は私の守りたいもののためであれば、限界を超えられる。魔王だって処断して見せよう」
「魔王もだと!? はっ! ふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞ! てめぇはここで死ぬんだよ!」
ここは上空。魔法で足場を作り、宙を歩くことは容易だ。けれど、魔力が低ければその分早く足場を失いフリになる。
そう、これは魔力を多く持つ魔族が圧倒的に有利な空中戦だ。
「じわじわと痛めつけて殺してやるよ!」
「そんな時間をかける必要はないさ」
「あぁ?」
「私の剣道は守るものを想えば想うほど強くなる!」
「
そして、竹刀を振るとそのオーラがアルフレッドめがけて放たれた。
「うっ! ……っく!」
油断していたアルフレッドはあっさり朱鳥の攻撃を食らい左半身に大ダメージを受けた。
だが……。
「…………実にいいカウンターだ……」
朱鳥も無傷とはいかなかった。
攻撃が放たれた直後、相打ち覚悟でアルフレッドが彼女の両腕めがけて、仕込みナイフを投げつけていた。
朱鳥の右腕は何とか動かせるが、左腕はもう動かすことすら出来ないようだ。
「受けた場所がまずかったか。少しばかり甘く見ていた」
「いいや、お互い様だ。おめぇ、いいな。ほらよ」
アルフレッドは1枚のカードを投げる。
「トランプ?」
朱鳥はそれを受け取る。そして、そこに書かれていたのはスペードの2。
「俺様の名はアルフレッド・リースアニマ。てめぇは?」
「
「覚えておこう」
アルフレッドは殺気を消し、朱鳥に背を向けた。
「なんだ? 逃げるのか?」
「こっちの目的はあそこにいるガキの始末だ。だが、てめぇが邪魔するなら話は別だ。てめぇとやり合うのは面白そうだが、こっちもただじゃ済みそうにないんでな。またの機会にしておく」
「意外と冷静な判断が出来るのだな」
「じゃあな、アスカ。次会う時を楽しみにしている」
アルフレッドが去った後、朱鳥は受け取ったトランプをじっと見る。
「
アルフレッド→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→…………→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→プリムラ×
三角関係…………っ!」
朱鳥はまだ
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