6.俺、驚愕す
お手紙の内容は以下の通りである。
ロドム・ジニアス
貴殿をキグナス・ジュウモンジの星の番と望む
至急返答せよ
キグナス・ジュウモンジ
簡素な内容はとってもわかり易くって、とっても困ります。
だって何度読み押しても、求婚のお手紙でしかない…。
星の番って皇帝陛下の伴侶って、こと、で?
伴侶?
へえ、皇帝陛下、結婚すんだー。
あー…求婚、ねえ…。
ん?
ん?
なんで俺、に?
手短なお手紙の内容が上手に理解出来ず硬直する俺を見つめていたオートマタが『それではお返事をお待ち申し上げております』って言ってドア閉めてった。
閉まったドアにドンって頭を押し付け、俺は、叫んだ。
「ファッ!!!??」
そしてハっと我に返り、誰でもいいから俺と結婚してくれ、と思った。
切に思った。
でないと、俺、このままだと、俺ぇ…。
頭を抱える。
そして瞬時に婚活せな!と決意す。
とにかく結婚しなければならない。
結婚は諦めていたんだけれども理由が出来たからだ。
突如として皇帝陛下から直々に手紙を頂戴した所為だ。
内容は、俺と結婚したいっていう。
はは、俺と結婚したいっていう。
求婚。
求婚?
俺に?
誰が?
皇帝陛下からっ!
もっかい読む。
求婚されている。
皇帝陛下から、求婚されている…。
星の番にと望まれているう。
首、痛い…。
驚きすぎて筋違えたっぽい。
だって、え、けっこん?
俺と?
なんで俺?
疑問が頭の中と目の前飛び散った。
だって皇帝陛下は…。
皇帝陛下は、とても美しく強く、恐ろしい剣だ。
キグナス皇帝陛下は剣の付喪神様なのだ。
だから人離れした美しさと強さを持ち合わせておられる。
式典や祭典、会議などで何度もその御姿をご拝見させて頂けるのだけれども。
黒い髪に真っ赤な目、めっちゃ強さ醸し出す長身と体躯。
黒の衣裳がお似合い過ぎる、足の長さエグすぎる、美丈夫。
なにもかもを魅了して、そのまま切り捨てることを許されているような存在感。
低い声には感情はあまり伴っておらず、皇帝陛下が同じ人ではないということを突き付ける。
初代皇帝もまた付喪神様だった。
盾の付喪神様だった。
長く続く魔獣と他国との諍いの末に、民を救済すべく降臨された神様。
そう言い伝えられている。
キグナス皇帝陛下は三代目。
降臨されてからまだ三十年とちょっと、これからも長く皇国を守護して下さる存在だ。
そんな、キグナス皇帝陛下からの求婚のお手紙?
ファ!!!??だ。
実際そう叫んだ。
ありとあらゆるご令嬢が結婚したすぎる男ナンバーワン。
男でも選ばれたら結婚すると回答100%。
我が家ではその強さ崇拝し、敬い、愛している。
そんな、キグナス皇帝陛下、の、番が俺?
はは、まさか、そんな、まさか。
俺は届いた真っ白な封筒をそっと机に置き、急遽婚活を開始したのである…。
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