第18話 白と黒
今日は木曜日なのでクラブ活動があるのだが、用事があるため参加できない。
拓真はその
*
「
「あら間瀬くん、おはよう。どうしたの?」
「おはようございます。今日のクラブなんですけど、用事があって参加できないのでそれを伝えに来ました」
「そうなの、残念ね」
「そうですね。本当は将棋やりたかったんですけど……」
「まだ1回も私に勝ててないものね(笑)」
「次は絶対勝ちますよ」
「ふふっ、楽しみにしてるわ」
「では……」
「……あっ、ちょっと待って」
「なんですか?」
「昼休みって何かやることある?」
「いえ、特には。いつもは外でサッカーやってますけど、雨降ってるから教室で何か話すぐらいです」
「そう……なら昼休みあの部屋に来てくれる?」
「えっ、まさか片付けの手伝いですか?」
「それもいいわね」
「嫌ですよ」
「
「……いいんですか?
「もちろん!」
「ありがとうございます。じゃあ昼休みに」
「はーい」
*
給食の時間が終わり、昼休みが始まった。
拓真は視聴覚室横の空き部屋に向かった。
——ガラガラガラ。
「お疲れ様です」
「いや部活かい!(笑)」
「今日で4枚落ちは終わりにしますよ」
「やる気がすごいわね。でもごめんなさい。今日は将棋じゃなくてオセロよ」
「オセロ?」
「白と黒のやつよ」
「それくらい知ってますよ」
「そんな顔しないで(笑)」
「でもなんでオセロなんですか?」
「学期末にボードゲーム大会があるんだけど、1学期はオセロなの」
「へー、そんなのあったんですね」
「ごめんなさい、すっかり忘れてて」
「大丈夫です」
「ありがと。じゃあやりましょうか」
「はい」
*
対局は約15分続いた。
結果は川上の勝利。
拓真は悔しがったが、それとは別に思うことがあったらしい。
「ギリギリ勝てたー」
「悔しいですけど、
「言うわね。でももう時間ないからまた今度ね」
「はい……」
「ん? どうかした?」
「いや、久しぶりにオセロやってみて、奥が深いなぁって」
「そんな
「白と黒で分かれてるのにどっちが表か裏なのか決まってないですよね? 白黒つける戦いなのに面白くないですか?」
「……そう?」
「あと裏でもあるし表でもあるっていうのが、なんかオセロって人間そのものだなぁって思います」
「……前から思ってたけど、間瀬くんってなんか面白いわよね」
「ども」
キーンコーンカーンコーン——
「あっ、予鈴だわ。じゃあまた来週ね」
「はい」
川上はポニーテールを静かに
拓真はオセロを片付けてから部屋を出たが、いつの間にか大雨になっていたのに気付き、静かに驚いた。
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