第11話 過去と未来
ある日の休み時間、教室の窓辺で女子2人が「過去と未来のどっちに行きたいか」について話していた。
女子2人というのは、以前「見た目と中身どっちが一番大事か」の話をしていた6人の内の2人で、
ちなみに結愛は丸顔で大きな垂れ目、莉沙はシャープな顔立ちで切れ長のつり目だ。似ているわけではないが、形容するならタヌキとキツネといったところだろう。
以前いた4人は先生の手伝いをするため職員室に行っており、拓真は鉛筆で汚れた手を廊下にある水道で洗っている。
話題を持ちかけたのは莉沙だった。
「ねぇ結愛、過去と未来行けるならどっちがいい?」
「未来かなー」
「私も!」
「100年後の猫ちゃんがどうなってるか見てみたい」
「ピンポイントね(笑) でも100年くらいで変わる?」
「
「何と戦うのよw」
「それかチップを埋め込まれて喋れるようになってるかも!」
「いつも思うけど発想がすごい」
「だろ? てか莉沙はどうなの?」
「んー、私も100年後に行ってみたいんだけど、私たちがどうなってるのか見てみたい」
「分かるー」
「まぁ2人とも生きてるか分からないけど」
「でも今より技術も進歩してるだろうから生きてるかも!」
「そうね。でもめっちゃヨボヨボになってるよ」
「若さを保つ薬を飲もう!」
「私たちが若い間に開発されなきゃ保つ若さがないけどね」
「それなーwww」
拓真は手を洗い終わり教室に戻ってきた。2人はそれに気付き、莉沙が声を掛けて同じ質問をした。
「ねぇ間瀬君、過去と未来行けるならどっちがいい?」
「いきなりだな。まぁ、過去かな」
「なんでー?」
「教科書に
「それも面白そうね」
「でも未来がどうなってるか知りたくない?」
「いや別に。何が起こるか分からないほうがRPGっぽくていい」
「ゲームかい! まぁ分からなくもないけど」
「でも少しくらいは未来見たいと思わない?」
「うーん……」
拓真は
「でも人間はいつでも少し先の未来は見れると思う」
「「どういうこと?」」
「例えば東京から飛行機で1日かかる国に行って、到着後すぐに1日かけて東京に戻ってきたら、2日間東京にいなかったことになるだろ?」
「そうね」
「確かにー」
「その2日間で東京の情報を得なかったら、2日後の東京に飛んだって感じしない?」
「まぁするけど、なんか言いすぎな気もする」
「タイムマシンではないもんねー」
「飛行機とタイムマシンの違いは、自分が外と同じ時間を過ごすかどうかであって、外で流れる時間は変わらないだろ」
「「むずい〜」」
「飛行機の2日間は自分も2日間過ごしてるでしょ?」
「うん」
「タイムマシンは一瞬で2日後に行くから自分は2日間過ごしてない」
「そうね」
「自分が過ごす時間は違うけど、東京が2日経ってるってのは同じだろ」
「確かに!」
「なら飛行機でも少し先の未来を見れるよね」
「……いつもそんなこと考えてるの?」
「いや聞かれたから考えただけだよ」
「ふーん。前も思ったけど、間瀬君ってなんか変わってるよね」
「そう?」
「うん」
莉沙が拓真のことを「やっぱり変な人」と感じていた時、結愛が何か
「じゃあ、ぶん
「どんな発想してんだ」
「結愛はいつもこうなのよ」
「ふーん」(変なやつだな)
「なにその反応!」
「いやなんでもない」
「絶対変なやつって思ってるでしょー」
「思ってないって!」
結愛に迫られた拓真は逃げるように席に戻った。
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