第①章 ⑤
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「よし、」
俺は屋上のドアの前に立っていた。
(ぱっと入って雪坂居るか確認して、居たら連れてぱっと出よう!うん、そうしよう)
俺は屋上の扉を開けた。
「……」
(あれ…?今見てはいけないものを見てしまったよーな…。つかあれ雪坂と、先輩!?)
「雪坂ぁ!?」
雪坂が俺の方を見た。先輩たちもこちらを見る。
「あれ、てめーは」
「先輩、何してんですか?」
「それは…」
「そいつのYシャツのボタン、何で外してんですか」
「チッ、行くぞ」
「転校生君、続きはまた今度ね」
そう言い、先輩たちは屋上の扉を開け去っていった。
「……」
「……」
しばらくの沈黙。俺は内心ほっとしていた。
(あーびっくりした。まさか先輩がそっち趣味とは、あと雪坂無事だったな。…ん?無事?)
「おい、雪坂」
俺は雪坂に声を掛けた。雪坂の奴は外されたボダンやネクタイをとめている。
「何?」
「お前、大丈夫だったか?」
雪坂はこっちを見た。不思議そうに、おかしそうに、そしてふっと笑った。
「ボタンやネクタイ外されただけだ」
(いや…ボタンやネクタイ外されただけって、それやばいから!)
「お前気を付けろよ。顔めちゃくちゃいいからな、俺が丁度来たからよかったものの…」
「気を付けるって何を?」
「さっきのだよ!さっきの!お前襲われかけてたじゃねーか!」
「?」
(こいつ意味分かってねーのか?もしかして天然?)
そう思っていると雪坂が急に笑いだした。
「?何…っ?」
雪坂はひとしきり笑いこう言った。
「ここはほんと変な所だな」
「?」
(変な所って何が…。やっぱ分かんねー、雪坂…)
その時昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
「え!もう昼休み終わったの?」
「そうみたいだな」
「お前5限目出ろよ。出欠やばいぞ」
「…めんどくさ。でも仕方ねーな。行くか」
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