そしてついに殺害計画

第8話・日々のストレスから、クソ親父〔ワタル〕を殺す道具集めをはじめる

 鬱々うつうつとした日々、クソ親父を殺す妄想から、殺害する道具集めをするのが。

 唯一の生き甲斐となった。

 ホームセンターや百均に立ち寄った際に、殺害に使えそうなモノを探し集めるようになった。


「このブロックは、殴り殺すには重すぎるな」


「クソ親父の命の価値なんて、百均の包丁で十分だ……笑える」


「枝切りの剪定せんていハサミは、殺害以外にも使える……購入しよう」


「これは、先端を研げば鋭い凶器になるな、ハンマーでクソ親父の脳天に打ちつけてやる」


「電動ドリルは、クソ親父の額に穴を開ける目的で購入……手足を拘束して抵抗できないようにガムテープ購入……眼球をえぐり出す調理器具、皮を剥ぐ道具etc」


 店内を歩き回って考えていると、意外なモノが使えると気づく。

 料理のクッキー生地を形抜く道具も、ヤスリで刃物のように研げば……頬を星形やハート型にくり抜く凶器に変わる。


 木製の編み棒は、削って鋭くしたら、鼓膜を貫通させる凶器になった。


 おしゃべりなクソ親父の口を、アヒルのような口にして留めるステープラー〔ホチキス〕


 その気になれば、アスファルトの道路さえ鈍器になる。


 いろいろと殺害方法を考えて、実際に道具を手にしていくと。

 実際には殺害に適さないモノもあると気づく。


 映画で殺人鬼が手にするチェンソーは、重すぎて振り回すには適さない。

 自分を傷つける危険もある、振り回すならノコギリザメのような垣根かきねを整える〝トリマー〟の方が軽量で扱いやすいと気づいた。


 刃物での殺傷も、使い手慣れた者でないと逆に抵抗された場合……自分を傷つける危険がある。

 いろいろと思考を重ね、行き着いた最適の殺害道具は……。


〝掛矢〔かけや〕〟一般の人には馴染みが、ないかも知れないが。かしなどの硬い木で作られた大型の木槌〔きづち〕のコトだ。

 片手で振り下ろすコトも、両手で振り下ろすコトもできる。


 重さもちょうど良く、抵抗して手で防御するクソ親父に対して。

 顔や体や手足を何も考えずに殴打するだけで、恐怖を与えるコトもできる。


♪潰しましょ♪潰しましょ♪クソ親父、叩いて叩いて潰しましょ♪


 当然だが掛矢は本来は、人を殺す用途で作られた道具ではない。


 掛矢の他にオモチャのピコピコ音が出るハンマーも買った。

 クソ親父をピコピコ音が鳴るハンマーで殴る、ハンマー部分が壊れたら柄の部分で突き続ける。


 クソ親父が警察に通報して、やって来た警察官に。

「ピコピコ鳴るハンマーで殴られた」と告げて、警察官が笑う情景を想像すると……滑稽こっけいだ。

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