積年で蓄積する憎悪と殺意

第7話・柱に刻まれた憎悪と殺意の痕跡……そして、妄想でクソ親父を殺す!

 クソ親父に対する憎しみと殺意は、年齢を重ねても薄れるコトはなく、むしろ強く増大していった。


 口をきけば必ず口論に発展する。

 クソ親父に恨みを抱くたびに二階の角にある柱に、日付と事柄と傷を刻むようになった。

 時にはナイフで、時には手斧で柱の傷は増えていった。


 同時に頭の中では、何百回も何千回もクソ親父を殺害した。自作のわらべ歌を口づさみながら。


♪燃やしましょ♪燃やしましょ♪クソ親父、ゴミと一緒に燃やしましょ♪


♪潰しましょ♪潰しましょ♪クソ親父、叩いて叩いて潰しましょ♪


♪クソ親父、はりから吊るして眺めましょ♪眺めましょ♪


♪流しましょ♪流しましょ♪クソ親父、刻んでトイレに流しましょ♪


♪クソ親父、ブタに喰わせて♪遊びましょ♪遊びましょ♪


 絞殺、刺殺、撲殺、轢死、溺死、高所からの突き落としetc

 とにかく思いつく限り、妄想する限りの方法で、クソ親父を拷問も加え頭の中で何百回殺しまくった。

 睾丸を潰す。首にロープや鎖を巻いて車で引きずる。生爪を剥いで蝋を垂らす。頭を叩き割って脳漿のうしょうを飛び散らせる……などなど。

 頭の中で生き返らせては殺し、拷問して殺害しては必死に実際の行動に移す衝動を耐えた。

 頭の中で殺したクソ親父の死体は、段ボール箱に詰めて。

 崖から谷底に転げ落としたり、暗いダム湖の底に放り投げて沈めたり、大気圏外に打ち上げたり。

 とにかく、見えない場所に頭の中で捨てた。


「クソ親父! 死んだらブタに生まれ変わって、永遠に喰われ続けろ」


「クソ親父、死んだら人から嫌われる、ゴミ虫に生まれ変わって、踏み潰されろ」


 そして……憎しみはついにクソ母親にも向けられる。


 クソ母親は、金銭の催促ばかりする、守銭奴の毒親……最近は母親にも殺意を抱きはじめている。


 こちらには、こちらの収入事情や都合ってもんがあるんだよ! 必要以上にオレの心を圧迫して負担すると。

 てめぇにも、とり返しがつかない未来が待っているぞ!


「勝手に孕んで産んで、子供に自分が思い描く、安泰な老後の金蔓を期待するんじゃねぇ! クソ女! 子供が全員、てめぇが思い描く人生を歩むワケねぇだろうが! ボケが!」


 オレは自分がこの世に生まれたコトを呪っている。

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