第二局18巡目◉woman

18巡目

◉woman


 コンコロコロ…サイの目は1と4の5

「自5っと」

 カオリは自分の山を少しだけ覚えてた。わざわざ覚えようと思ってたわけじゃないが白を3枚適当に積んだのは何となく記憶にあった。すると、ドラが白。しかし、自分の配牌には白が1枚も無かった。

(まずいな、散ってればいいけど…私以外の3人のどこかにドラの白が1枚〜3枚入ってしまった。危険な局だ。気をつけないと)


 カオリは門前で仕上げられそうな手が来たが序盤からリャンメンを鳴いて速度を重視した。


二三四伍伍③④⑥⑥⑥(567)


《えっ、これリャンメンを鳴いちゃうんですか?勿体ない》

(仕方ないのよ、この局はこれでいい。赤引くかもしんないし、これはこれでアリ)とカオリが声に対して想いを脳内で語ると…

《ふむ、私の知らない何か理由があると見ました》

「あっ、会話できるの?」

 思わずカオリは声に出した

「何のこと?」

「ごめん、こっちの話」(やべ、変に思われたかな)

 マナミは不思議そうに首を傾げる。それはそうだ。あっ、会話できるの?とは一体何のことだかさっぱりわからない発言なのだから。

 カオリは2巡後に赤⑤をツモあがる。

「ツモ。1000オール」

「あーー!残念!配牌でドラの白アンコってたのに!!」とヒロコが悔しそうにした。

(ふう、危なかった)

《なるほど、自山だから少し覚えていたんですね。そういう事でしたか》

(ねえ、あなた。名前はないの?)カオリは脳内で語りかける。

《名前ですか…そうですね【woman】とでも呼んでください》

 確かに『声』は綺麗な女性ウーマンを連想させる透き通るような美声だった。

《私が言うのもあれですが、カオリは受け入れるのが早いですね。不思議だなとか、幻聴かとか無いんですか?》

(実際聞こえるし、不思議だけど味方だし、あまり難しく考える必要はない気もした。これからよろしく。womanさん)

《さんは要りませんよ。よろしくお願いします、カオリ》

 とても不思議な話なのだが、麻雀以外の事柄には興味のないカオリにとってもはや超能力すらたいした話ではなかったのであった。

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