第40話 アンデッドと、魔力回路生命体

Side:スパロ

 アンデッドの被害が増えているだって。

 巡礼から聞いた話は信じられないものだった。


 聖女様なら数十体は軽く倒せるけど、1体につき熟練の冒険者1パーティで挑むのが普通だ。

 なんで手ごわいかというと、とにかくしぶとい。

 そして呪いを掛けてくる。


 普通の対抗手段では駄目だ。

 光魔法の使い手と、熟練の解呪師が必要になる。


 そんなアンデッドが何百と発生しているらしい。

 朗報なのは普通のアンデッドは動きが遅い。

 上位種だとそんな事もないけど、ゾンビなんかだと物凄く動きが遅い。

 スケルトンでも普通の人と同じぐらいだ。

 屈強なモンスターと比べればどうって事はない。


 でもゾンビに噛まれると呪いが伝染する。

 スケルトンは持っている武器に呪いが掛かっている。


 ヴァンパイアなどは最悪だ。

 爪に至るまで呪いが掛かっている。

 おまけに魅了まで使う。


 もっともヴァンパイアが出てくるのは何十年に一回だ。


「ナノ、アンデッドを討伐に行くよ」

『がってんだ』


 街道にいるアンデッドを探して、実家があるアーティクルの方に向かう。

 こっちの方角に被害が多かったからだ。


 街道をゾンビと思われるアンデッドが5体、こちらに向かって来るのが見えた。

 矢を放つと矢はゾンビに刺さるがゾンビは事も無げに歩いて来る。


 一緒に来たゴーレムが眩しい光を放つ。

 ゾンビが燃え上がった。


『光魔法が良いと聞いたから、ブラスターを撃ってみたけど、あまり効いてないね』


 ゾンビは少し歩いて消し炭になって崩れた。


「あんまりどころか、物凄く効いているけど」

『船の装甲に穴が開く攻撃なんだぜ。パワードスーツだって秒殺なんだよ。それに数秒耐えるって凄い生き物だ』


「しぶとさが売りみたいなモンスターだから。残骸も残らず燃やしてよ。残すと病気の素になるんだ」

『へいよ』


 その後何度もゾンビを退治した。

 大発生と言ってもいいかも。


 アーティクル領からアンデッドが来ているのが物凄く気になる。


「今回は狩猟権がどうとか言わないんだ」

『こいつら生きてない。言うなれば動くゴミ』

「だから燃やしたんだ」


『弱点を探らないと不味いな。上位種はもっと強いんだろう』

「燃やすのでも良いみたいだけどね。村ではそうやって防衛しているよ」

『光魔法とどう違うんだろう』


「また来たよ」

『じゃあ、捕まえてみる』


 ゴーレムがゾンビを捕まえる。

 ゴーレムは呪いを気にしないらしい。


Side:ハイチック8000


 ふーん、魔力回路がゾンビを動かしているのか。

 ゴーレムが噛まれて呪いという魔力回路をうつされた。


 ええと、レーザーでチュンと。

 呪いの魔力回路を壊すのは簡単だな。

 ゾンビの中にある魔力回路をレーザー一閃。

 ゾンビは崩れた。

 アンデッドの中にある魔力回路を壊すと存在出来ないのか。

 これで楽に倒せるな。


 魔力回路生命体と呼ぶべき生き物だ。

 どっちかというとエネルギー生命体に近い。

 宇宙に居る災害レベルのエネルギー生命体に比べると、だいぶ脆弱だけどな。

 あっちはブラックホール兵器でもかまさないと沈黙しない。


 魔力回路を壊すと残骸と魔石が残るのか。

 ゴーレムで回収っと。


「まさかそれから食べ物を作ったりしないよね」

『するつもりだけど』

「呪われそうで嫌だな」

『安全だけど。気分的に良くないのは分かる。肥料に回す事にするよ』

「それもちょっと」


 こそっと、食料にしてしまおうかとも思ったが、牢屋を作る時の建材に利用しよう。


『魔石は魔道具にして問題ないのか?』

「そっちは気分が悪いけど黙認しているんだ。冒険者のアンデッド退治の報酬だからね。魔道具が故障すると、アンデッドの魔石に祟られたとか言っているよ。アンデッドの魔石とは、限らないけどね。冒険者ギルドは、アンデッドの魔石を分からないように、普通のモンスターの魔石と混ぜて売っている」

『ふうん』


 魔石の中にある呪いをレーザーで除去する。

 ゾンビの魔石は大きいな。

 ゴブリンの3倍の大きさがある。

 体積にすると27倍か。

 魔力で活動しているだけの事はある。


 低出力レーザーを撃てば死んでしまうから、ゾンビだけなら恐れるに足りないな。

 上位種もブラスターを食らって無傷なら凄いと思うけど、高出力レーザーもあるし、まず大丈夫だろう。

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