第79話 結構本気で怖かったお話
今でこそ、姉と私は表面的な会話くらいしかしていないのですが、実は姉にとても感謝していることがあります。
それは、私がまだ小学生だった頃のお話。
みんなでおでかけで浮かれていた私は、ルンルン気分で車の助手席に座り、シートベルトをつけました。
後部座席には姉。そして運転手は親父さんでした。
「玄関の鍵をかけるのを忘れた」と、親父さんはエンジンをかけたまま、玄関に戻って行きました。玄関まで大した距離ではなかったので、私もなんとなーくポヤポヤした気持ちで助手席に座っていました。
しばらくすると、姉がなにかを叫んでいます。
最初、私が貧血を起こしたのかと疑いました。親父さんはまだ運転席に戻っていないのに、視界がゆらいだからです。
けれど貧血ではありませんでした。親父さんがギアをバックに入れ忘れたのです。
そのために動き始めた車を華麗に降りた姉が、車を外側から抑えていてくれていたのです。
恐怖のあまり、声も出ない私。けど、心の声はぴぃぃぃぃーと泣き叫んでおります。
車は姉が抑えている方と反対側が、車道に出そうだったその時、間一髪で親父さんにエンジンを切ってもらい、命拾いをしたのでした。
あの時のことは、結構今でも思い出します。
もし、あの時姉が車を抑えてくれていなかったらと思うと、かなり怖かったです。
けれど、その後も普通に喧嘩はしたのですけどね。
つづく
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