第59話
【闇の英雄・マター視点】
「どうした?逃げるのか?闇の英雄?」
やっぱりだ。
ものまね士は僕を挑発している。
情報によればものまね士は隙が出来ればストレージから武装を補充する癖がある。
だがそれをせず、闇の英雄である僕にグラビティを迷わず使って来た。
「ちょこまかとうざいから後にしようと思っていたけど、今殺してあげるよ」
「それを出来ないと思ったから俺から逃げたんだろ?」
「今殺すと言ったよ」
「出来るのか?そのグラビティアーマーは長く持たないんだろ?それまでに俺を殺せるのか?」
「ふ、安い挑発は必要ないよ。必死なのは分かるけどね。うん、今ここで殺してあげるよ」
「グラビティで俺を殺せなかったな」
「今わからせてあげよう。グラビティ!グラビティ!グラビティ!」
「グラビティ!グラビティ!グラビティ!」
グラビティを撃ち合い、余裕で押し返す。
だがおかしい、前より押しきれない。
「闇魔法のレベルが上がったのかい?」
「おかげさまでな。もっと撃っていいぞ。でも、追いつかれるのが怖いか。お前は拳の英雄より弱い。怖くないんだよ」
そうか、そうかそうか。
ものまね士は僕を下に見ている。
ほぼダメージを受けていないから調子に乗っているんだ。
僕は本気を出していないのに。
何も分かっていないようだ。
本気の魔法連射を見せてあげよう。
「グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!」
「グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!」
グラビティの魔法が2発ヒットして後ろに吹き飛んだ。
グラビティは重力による衝撃を与える。
当たればこうなる。
「はははは!分かったかい?闇の英雄である僕にグラビティは効かないんだ!」
ものまね士はまるで効いていないような素振りで素早く立ち上がった。
「お前は拳より弱い」
まだ分からないようだね。
「グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!」
「グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!グラビティ!」
今度はお互いの攻撃が相殺し、お互いにダメージを受けていない。
「もういいや。闇魔法が10になったからもういい」
本当にレベル10になっているように見える。
ものまね士の固有スキルか?
ものまね士が固有スキルを使った、その情報は聞いている。
上昇のスピードが速すぎる!
ものまね士は僕を無視して戦場に戻っていった。
「は!なんで戻る?僕がいるのに?訳が分からない!」
そうか!グラビティアーマーの効果切れを狙っている!
今まで話をしていたのも、急に僕から距離を取ったのもそう考えれば納得できる。
ならば僕から目を離せないようにしてあげるよ。
僕は飛んで戦場に戻り、そして敵兵士に魔法を撃ちこんでいく。
「ハイグラビティ!グラビティ!グラビティ!ハイグラビティ!」
グラビティ1発で数人の兵士を倒し、ハイグラビティの大きな球体攻撃でまとまる兵士を10人以上倒した。
ものまね士が方向転換して走って来る。
ほら、僕は操る側の人間で操られる人間じゃない。
「ハイグラビティ!グラビティ!グラビティ!」
「ハイグラビティ!グラビティ!グラビティ!」
魔法で打ち消し合い、魔法が消えるとそこにはものまね士の姿があった。
【アキ視点】
グラビティアーマーが消えるまで逃げ回るつもりだったが予定変更だ!
グラビティアーマーは完全に攻撃を防ぐわけじゃない。
その証拠に攻撃を避けたりグラビティの魔法で攻撃を打ち落としていた。
今できる最強の攻撃で一気に終わらせる。
闇の英雄に近づいた瞬間に俺は固有スキルを発動する。
「ダブルナックル!」
両手の紋章が輝く。
攻撃を当てる瞬間に闇の英雄が後ろに飛んだ!
ダブルナックルの攻撃が浅い!
致命傷にはならない!
しかも吹き飛ばされる衝撃を利用して敵陣に下がろうとしている!
英雄は数多くの修羅場を潜り抜け、生き延びて来た者達だ。
勘がいい!
侮る事は出来ない!
俺は闇の英雄を追った。
グラビティアーマーの黒い光が弱くなっていく。
グラビティアーマーが切れて移動速度が落ちていく。
俺はあと少しの所まで追いつく。
だがその前に闇の英雄は敵陣に合流した。
「また明日相手をしてあげるよ!」
あと少し、少しでいい!届いてくれ!
『固有スキルを取得しました』
俺はたった2本、爆炎効果を付与してあるロングナイフを抜いた。
「固有スキル・クロススラッシュ!」
この固有スキルを使うと武器が粉々に砕ける。
爆炎の力を宿した十字の斬撃が障害物になっている兵士をなぎ倒しながら迫り、闇の英雄にヒットした。
俺は斬撃を追って敵陣に飛び込んだ。
たった10メートルで消える斬撃を追うように走り、全力で、そして風の魔法ではなく闇の魔法をまとって殴った。
闇の英雄を吹き飛ばしながら、後ろの兵士にも衝撃を与えるパンチを連続で繰り出す。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
『レベル50→51』
「闇の英雄を倒したあああああああああああああああああああああああ!!!!」
俺は敵兵士に包囲されたまま叫び、一瞬敵がひるんだ隙に兵士を殴り殺していく。
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