第7話 街1番のべっぴんさんの嬢ちゃんとの模擬戦。

 模擬戦を承った俺は街1番べっぴんさんの嬢ちゃんに連れられて闘技場みたいなところへやってきた。ちなみになぜだか知らんが他の人もゾロゾロとついてきて観客席に座る、……お前ら暇なんか?


「じゃあルールを説明するわね。あそこにある模擬戦専用の武器をどれか1つ取ってもらって戦う。なお故意に相手を傷つけるのは禁止。パワーを使うのは可能とする。勝利条件は相手を場外に落とす。又は相手が降参したら勝利となる。」


 なるほどなるほど、よく漫画で見るようなものと大して変わりはないな。さすが人の思念が集まってできた世界だ。


 だけど俺は武器使えねえんだわ。少なくともそこにある武器たちは。あー使いたかった。どれも興味がめっちゃそそられる。あーあ。( ;∀;)


 あれ。まてよ、これは使えるんじゃね?


 俺は目の前にあるメリケンサックを見つめる。これは対象に入っていないしアリなのでは!?俺のパンチは人をもぶっ飛ばすからな。メリケンサックがあったらもう勝てるんじゃね?

 

 俺は武器にメリケンサックを選ぶことにした。


「ふーん。メリケンサックか。変わった武器を選ぶのね。」


 いやいやいや街1番のべっぴんさんの嬢ちゃんさん。これしか使えないんです。少なくともそこにある武器の中では、


「じゃあナスビ、お前が審判やれ。お前なら公平な判断ができるだろ。」

「わかったなす、あなたもそれで問題ないなすね?」

「いいわ、じゃあ始めましょう。」


 俺と街1番の(以下略)は闘技場に行った。ちなみにほとんどの席が満席だ。なに、この人超有名なアイドル的な存在なの?まあ確かに美人だけども。というか、この状況で勝ったらブーイングの嵐なんじゃ。


「じゃあお互いに位置につくナス。」


 俺は闘技場の端かつ街1番の(以下略)と1番離れている場所に着いた。まず、この勝負だがおそらく僅差で勝てると思う。多分この人はベテランよりかは期待のルーキーってところだ。筋肉を見れば大体の経験はわかる。俺はとりあえず速攻戦を仕掛けるとしよう。なぜなら早く終わらせたいから。俺はこんなところで道草を食っている場合じゃないんだ。早いとこ1ランクになって無双をするのが目標なんだ。


「それではカウントダウンを開始するナス。3、」


 俺はクラウチングスタートの構えを取る。これで大体速攻戦を仕掛けることはバレると思うが想定内だ。まさかこんな巨体がウサイ◯ボルト顔負けのスピードで走ってくるとは思わないだろう。


「2。」


 すると街1番の(以下略)も構えを取る。だけどなんだこれは?手を前に出して力を溜めているような。もしかしてだけどまさか!?


「1、スタート!」

爆発式火炎弾バーニングボール!』


 予想は当たった。この街1番の(以下略)は魔法を使う。確かこの魔法は銃弾を凌駕する速さで飛んでいって着弾点に爆発を起こす魔法だ。これはナスビから聞いている。だから俺は対処法も知っている。


「フン!!」

「グッ!」


 俺は地面を踏みつけて地響きを起こした。この行動には二つの意味がある。

 一つは相手の集中力を削ぎ落とすこと。魔法は集中をしなければ決して発動できない。発動できたとしても速度が落ちたりや威力が弱まったりする。今回は速度が格段に遅くなったな。目で捉えられるぜ。

 そして二つ目はというと……


「ハア!」

「何!?」


 もう一つは瓦礫を作ること。もう一度言うがこの魔法はに爆発を発生させる。自分のタイミングで爆発させることはできないのだ。ここが重要。俺は手頃な瓦礫を拾い爆発式火炎弾バーニングボールにぶつける。

 こうすることで自身への被弾を避けるのだ。


「なるほど、ただの初心者というわけじゃないのね。なら本気出してもいいかも。『雷神瞬足サンダーレッグ』」


 雷神瞬足サンダーレッグ‼︎これは自身の足に電気を流し人間の域を超越した速さで走る魔法だ。多分トップスピードだったら俺より早いだろう。その分持久力はないけど。なおから地味に足に触れたら痺れる。


「これだけじゃないわよ。『鉄塊纏拳アイアンフィスト』」


 おいおい、二重魔法は聞いてないぞ。しかもコレは結構強いって言われる鉄塊纏拳アイアンフィストはその名の通り自身の拳を鋼鉄のように硬くさせる魔法だ。だがこの魔法にはデメリットが存在する。それが拳が格段に重くなることだ。一見メリットのように見えるかも知れないが動きが鈍くなってしまう。チーターでもこの魔法を使うとしたら一般人男性が早歩きをしているのと同じくらいの速度まで低下する。だけど重いから破壊力はとてもある。

 さて、このというデメリットがある鉄塊纏拳アイアンフィストで移動する雷神瞬足サンダーレッグと同時に発動したらどうなるでしょうか。あら不思議、普通に100mを10秒弱で駆け抜ける速さを持った鋼鉄の拳をもつ人間が完成しちゃいました。なお破壊力は速さも加算されるのでざっくり3倍くらいになっちゃった。あははのは。


「って笑っている場合じゃねえ! うらあ!」

「グホオッ!?」


 俺は素早く拳を受け流して腹にパンチを食らわした。だけどおそらく攻撃は通っていないだろう。相手からしたら気休め程度の威力かも知れない。次に備えなければ。


「さあこい!」


……………シーン。


「アレ?」


 俺の前には白目を剥いている街1番(以下略)が倒れていた。いやいやいやいや芝居だよな?こんなんで終わるわけないよな?


……………シーン。


 あーどうやら本当に気絶しているみたいだ。マジかよ。





 俺は改めて自分の力加減のなさを知った。

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