第6話 街1番のべっぴんお嬢さん。
俺は当たり屋してきたセーカク・オワトルをナスビに縛り付けて署までやってきた。
「あー、門番さん。コイツ当たりやしてきました。 署にぶち込んでください。」
「え?またコイツか。オメエさん。コイツは毎回当たり屋とかの害悪行為で悪の代表的なやつでな。この署の常連よ。でもコイツ、力だけは強かったからよ。何回も脱獄してよ。でも、毎回この街1番のべっぴんさんの嬢ちゃんが捕まえてこの署に引きずってくんだ。もはやこの街の名物よ。そのおかげでこの街の治安はいいんだぜ。ここだけの話だけどよ、街の名物って言っただろ。この名物を守るために毎回軟弱な檻にわざと突っ込んでんのさ。グアッハッハッハッハッハ!」
随分と面白い人だ。見ているこっちも心が弾むな。
「ははは、結構重要そうな話ですけどあったばかりの俺に言っちゃっていいんですかね?」
「あったりめえよ。ワルを捕まえるやつにワリイ奴なんて存在しねえからな。」
めっちゃカッコいい。漢気があるオジサンの代表みたいだ。
「ありがとうございます。それでは。」
「あ、ちょっとまちな。オメエさん。さてはコレから冒険者登録しにいくだろ。俺が、オメエさんがセーカク・オワトルを署に連れてきたっていう事を紙に書くから受付さんに渡してくれ。そしたらランク上位に入ったりいきなり飛び級できるかもな。あと、気休めだが2000コインやるよ。」
「おじさん!ありがとうございます!」
「おじさんじゃねえ。お兄さんだ。」
俺はオワトルをオジサンの雰囲気を出す門番さんに届けて署を後にした。随分と時間を浪費してしまった。けれども門番さんから封書をもらえた。ついでに2000コインも。コインはこの世界の通貨で1コイン=2〜3円くらいだ。いや〜優遇の紙に金ももらえるなんて幸先がいい。
「ナスビ、よかったな。」
「そうナスね。棚ぼたナス。」
俺は街の屋台で飲み食いした後、{戦人者の集い}にやってきた。ちなみにだがナスビも一応、登録させるつもりだ。動物などの登録も可能だからな。まあナスビはこの世界に1匹しか存在しない生き物だけども。まあ早速入ってみるとするか。
「ごめんくださーい。冒険者登録をお願いしたいのですけれども〜。」
「ハーイ。こちらへどうぞ。」
ココが{戦人者の集い}の中か。広いな。ちょうどスーパーマーケットぐらいの広さがある。人もいっぱいだ。魔法使いの格好をしている人や全身をガッチガチの鎧で固めている人。背中に弓を背負っている人。みんな個性があってどれもカッコいい。それに比べて俺はパツンパツンのタンクトップの下着にピッチピチのズボン。背中にマイクロアントクイーンの外骨格。ゴッツダサい。恥ずかしくなってきた。
「おい、見ろよアイツ。」
「ああ、すげえ筋肉だな。」
「俺にはわかる。アイツはゴリ押しで敵を倒すやつだ。」
「なんで武器を所持していないんだ?拳で戦う気か?」
「あの拳でぶん殴られたらひとたまりもねえな。」
さっきから聞き耳をたてているが俺の筋肉の話題で持ちきりだ。まあそうだよな。身長3m超えのゴリマッチョがいきなり入ってきたらそんなリアクションになるか。
「どうぞ、少々ココでお待ちください。呼ぶときはテレパシーで呼ぶのでご心配なく。」
「わかりました。」
俺はスタッフさんに連れられて待合室のようなところにやってきた。俺以外にもたくさんの人がいた。みんな正義感が強そうな人ばかりだ。なんでオワトルは戦人者になれたんだ?。その時、
『お呼びでございます。』
俺はテレパシーが来た事を感じ取り応接室に入った。
「こちらへおかけください。」
「はい。」
俺の前にはベテランの雰囲気を出すおじさんとおじいちゃんの間ぐらいの年齢あたりの人がいた。
「えーと、まずお名前とパワーの数を聞かせていただけますか?あと、戦人者になろうと思ったきっかけを。」
「はい、俺は武道淳といいます。パワーの数は5です。」
「5ですか。多いですね。一般的な戦人者以上ですよ。それできっかけは?」
「はい、俺が得意としそうな職業が戦人者だったからです。他には、前に誰かかはわかりませんが子供の時に嫌がらせを受けていたのを戦人者の人が助けてくれたからです。」
もちろんそんな過去は存在しない。だけど、周りの人に助けてもらったことは何度もあった。だからその例を参考にした。
「ほお、では、これまでにやった何か実績はありますか?」
「!あ、あります、ど、どうぞ。」
俺は大らかな雰囲気を出す門番さんが書いてくれた封書と背中に背負っているマイクロアントクイーンの装甲とナスの中に放り込んだ大量のマイクロアントクイーンおよびマイクロアントの大量の生命の源とマイクロアントの装甲をナスビのヘタをとり、手を突っ込み取り出した。実はナスビの中身はマジックボックス的な役割を果たせるのだ。
「せ、生命の源がこんな大量に!? しかもこの封書はとも北門番の方が書いている封書だ!?す、素晴らしい!!!非常に素晴らしい!もう9ランクから始めてもいいくらいですよ!」
俺は思わず気持ち悪いくらいのにやけ顔になった。一気に3つのランクを飛ばせれるというのは大体1年分くらいの時間短縮になるからだ。俺の目標は1ランク。最初の12ランクから始めるのはあまりにも長い道のりだ。時間短縮はできればできるほどありがたい。というか低級天使運営しているってことはこのおじいちゃんも天使ってことだよな。やけに人間っぽい。
「淳さん、あなたはもう全く、まったく!!問題ありません!!実に素晴らしい人間です!では、9ランクからのスタートということで。ようこそ、{戦人者の集い}へ。」
俺はそう言われてカードを渡された。カードには9と大きく書いており、隅っこにいつ撮られたのかは知らないが俺の顔写真とネームが書いてあった。
「ありがとうございます。今後共によろしくお願いします。あと、ついでに俺のペットも登録お願いできますか?」
「ムッ! ナスビは天から承れし淳さんの相棒ナス。ペットじゃないナス。」
「ナント! 会話が可能なペットをお持ちなのですね。見たことがない生物ですが何かの亜種なのですか?」
ナスビは必死に自分がペットではないと自分を弁護するがそんなのお構いなしだ。俺は主人、ナスビはペット、以上。
〜〜数分後〜〜
「はい!登録に関してはこれで完了です。クエストは明日から受けられます。今日は装備を買ったりして、明日に備えましょう。」
「はい、ありがとうございました。では、失礼します。」
俺は応接室を出て待合室も退出した。するとやけにザワザワしている。。一体何が起きているんだ?
「すみません。やけに騒がしいですがなんかあったのですか?」
「ああ、おめえさん知らねえのか?街1番のべっぴんさんの嬢ちゃんが来ているのさ。」
「へえー。」
街1番のべっぴんさんの嬢ちゃんって門番の人も言っていたな。というか通称名が絶望的に長くてダサいな。一体どんな人なんだろう。そう目を瞑って考えていると人の歩く音がコツコツと聞こえてきた。
「すみません。あなたに模擬戦を申し込みたい。」
「フェ!?エ?ハ!?」
俺が目を開くとそこには目の前にきれいな女性がいた。不思議と街1番のべっぴんさんとわかるぐらいの美少女だ。まあ年は大体同じくらいか。にしても綺麗やな。
「おい、なんだよアイツ。」
「あの街1番のべっぴんさんの嬢ちゃんが話しかけているのになんだあの態度。」
「恥を知れ‼︎」
周りからそんな声が聞こえたが気にしない気にしない。
「……えっと、まあ、わかりました。受けてたちます。」
こうして俺はどこぞの街1番のべっぴんさんの嬢ちゃんと模擬戦をすることになった。
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