魔法適性ゼロと無能認定済みのわたしですが、『可視の魔眼』で最強の魔法少女を目指します!~友達ゼロのぼっちなのでソロで魔王討伐を決意したら、妹と御三家令嬢たちがわたしを放そうとしない件について~
75 こんなに難航する部屋決めってあるんですね!
75 こんなに難航する部屋決めってあるんですね!
さて……。
部屋割りをみなさん二人組を希望とは困りましたね、どう分けましょうか。
「リアちゃんは一人でもいいんじゃない?」
「はい?どうして私が一人になりますの?」
ミミアちゃんの提案にリアさんが怪訝そうな表情を覗かせます。
「いや、この宿が狭くて驚いてたみたいだからさ?せめてお部屋くらい広く使わせてあげようと思って」
「それを言うのなら貴女もでしょう……!?それに私は二人組を希望すると言っているではありませんか!」
あ、ダメですね。
話がまとまりません。
「それなら、わたしとこいつは姉妹だし?同じ部屋が無難じゃない?」
おっ!そうかと思えばシャルが珍しいことを言ってきましたよ!
「シャル、わたしと一緒の部屋でいいの!?どういう風の吹き回し!?」
普段は全然一緒にいてくれようとしなかったのに、どんな心境の変化がっ!?
「えっ、そっ、それは……!」
と思ったら、あたふたし始めるシャル。
「そうですわ!貴女方、教室では全然話さないではありませんかっ!」
「それに普段一緒に暮らしてるんだから、こんな時くらい分かれた方がいいと思うな!」
さっきまで言い争っていたリアさんとミミアちゃんが今度は仲良くシャルの意見を否定しています。
思わぬカウンターにシャルがたじろいでいます。
「な、なによ……。こんなのテキトーに決めるしかないじゃない」
「適当ではありませんわ!ちゃんと話し合いで決めませんと!」
「そうそう!シャルちゃんの一方的な意見で決めるのは良くないよ!?」
反論するミミアちゃんに、リアさんが顔をしかめます。
「……さっき、貴女の一方的な意見で私を一人にしようとしましたわよね?」
「リアちゃん!今はそれ言いっこなしだから!」
話が合ったと思ったらすぐに分裂しています……。
「……じゃあ、なによ。誰かと一緒になりたいヤツでもいるわけ?わたしは決めやすいかなと思って姉妹ってのを口にしただけだけど」
「そ、それは……」
「そんな、ねえ……?」
シャルの質問に口籠ってしまうお二人。
総合すると、みんな特別誰かと一緒になりたいっていう希望はないみたいですね。
それなのに二人組を希望するんですねぇ……?
わたしは誰でもウェルカムですけど。
そんな中――
「私はエメと一緒がいい」
にょい、とセシルさんが挙手して静かに希望を口にしました。
それを聞いて数泊が空いた後。
「「「それ言っちゃうの!?」」」
三人がハモっていました。
何に驚いているのかはよく分かりませんが。
「お、お待ちなさい……!エメさんはそれに対してどう思っていますの!?」
ふふっ、嬉しいですねぇ。
セシルさんの方からわたしのことを選んでくれるだなんて……一時期はわたしが一方的に話し掛けていた時期もありましたのに。
セシルさんとの親密度がかなり上がっていると感じます。
「だ、ダメだわ!こいつかなり喜んでる!見てよこのお花畑な表情!」
「セシルちゃん……引っ込み思案に思わせといて、ここぞという時に直球勝負で来るとか……侮ってた!」
何やら皆さん色々言っているみたいですが、わたしはセシルさんの発言に舞い上がってしまい、会話が右から左状態でした。
「私とエメは決まり」
「ダメに決まっていますでしょう!?」
……おや、そうかと思えばセシルさんの意見にも反対派?
「何で、おかしい」
ぷくっ、とセシルさんが頬を膨らませています。
「一人になる方がまだ決まっていませんのに、二人組を先に決まってしまっては抜け駆けになってしまいます。それでは不公平ですわ!」
「そ、そうだね!うん、それは良くないよね!」
「まずは一人組みの方から先に決めるべきね」
セシルさんの意見に対し、三人はまず一人の方を先に決めるべきとのこと。
敵対していたと思ったら、急に意見が合わさったり……すごい変わり身ですね。
「じゃあ、どう決めるか言って」
「「「…………」」」
黙り込んでしまいます。
こ、こんなに難しい部屋決めってあるんでしょうか?
こうなったら、公平的に決める方法は一つでしょう。
「皆さん、くじ引きで分けましょう」
わたしの言葉に皆さんが息を呑みます。
「……やはり、それしかないようですわね」
「結局、運頼りになっちゃうかぁ」
「負けない」
「好きにしなさいよ」
……どうして、こんな重苦しい空気が流れているのでしょう。
魔法実技の時にも感じなかったような緊張感がステラホルダーの方達から流れて来てるんですけど。
お部屋決めるだけですよよね?
もっとこう、和気あいあいする場面だと思っていたのですが……。
「はい、それじゃいきますよ――」
「「「「「…………」」」」」
全員の空気は重たいままでした。
その原因である部屋割りはこうです。
1.わたし
2.シャルとリアさん
3.セシルさんとミミアちゃん
「……わたしだけ、一人」
一人は嫌だって最初に言ったのに、結局わたしが一人に。
なんですか?学園の外でもぼっちでいろってことですか?
神様は容赦ありませんねっ!
「わたし、リアと仲良くやれる気がしないんだけど」
「それはお互い様ですわよ」
シャルとリアさん……入学式初日にぶつかり合った二人ですもんね。
わだかまりが、まだあるのかもしれません。
「せ、セシルちゃん?よ、よろしくね……?」
「……」
「あ、後退りしないでよ!?」
「……私みたいな子、苦手でしょ?何考えてるか分からなくて」
「そんなことないない!エメちゃんと一緒になりたいって素直に言うくらいだから、考えは凄く分かりやすいよ!」
「分かってくれる?じゃあミミアはエメと代わって」
「それはダメだよねっ!」
「……」
「今のはセシルちゃんが悪いよね!そっちの方こそ歩み寄る気ないよねっ!」
セシルさんとミミアちゃんも噛み合っていませんね。
はあ……どうしてこんなことに……。
「まあ、公平に決めたんだから仕方ないわ。もう夜になるし、ここ浴場はあるみたいだからそこで体を洗ってから食事にしましょう」
シャルの説明に再び空気が変わります。
「「「――ッ!!」」」
さっきまでの重たい空気はどこへやら、息を吹き返したように全員の瞳に輝きが灯ります。
……ですけど。
不思議なのは、なんでみんなそれをわたしに向けてくるのかってことなんですよねぇ。
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