★★★ Excellent!!!
当たり前のことを、当たり前に――ひょっとすると一番むずかしいこと maru
書くことと読むことは、裏表の関係にあると思います。
カクヨムで小説を出すようになって感じるのは、たくさんのすばらしい書き手がいるのと同じくらい、たくさんのすばらしい読み手がいるということ。
書く側になったら、当然読んでほしいと思うものだけど、自分の作品を読んでほしいと思うような仕方で、自分は他人様の作品を読めているのかなと、ふと振り返りたくなるときがあります。
このエッセイの書き手、鶴梅創作堂さんは、その意味で「当たり前のことを、当たり前に」実践してらっしゃる優れた読み手だと思います。「速読」という、誰にでもできるわけではない読み方をおけば、ここで語られていることはどれもなるほどそうだなと思わされることばかり。
でも、その「当たり前のこと」がわかっていてもなかなかできない。それどころか、一番むずかしいことかもしれない。でも、裏表の関係にある以上、自分の「読む」態度は、自分の「書く」内容にも反映するのでしょう。
鶴梅創作堂さんがサラッと書いておられることの一つ一つが、自分の「読み方」、ひいては「書き方」を振り返るキッカケになる――そんなエッセイ集です。