このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(314文字)
札一枚で、ここまで導けるのかと驚きです。月見札と聞いてピンと来ない方も、読めばきっと新しい発見があると思います。読んだ後も関連事項について思わず調べてみたくなる奥深い作品でした。是非、読んでみてください。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(271文字)
ミステリーと聞くと思わず読んでしまう、でも実は読みながら「こんな種や仕掛けだらけの事件、現実にはあり得ないよな」とか、「なんでこの主人公の周りではいつも殺人事件ばかり起こるんだ」なんてツッコミを入れてしまうミステリーファンにおすすめ!(笑)実に現実的です。でも、それでいて味わい深い。読後は不思議と、都会の雑踏の少しほこりっぽい夜の空気が、鼻の奥に残っている気がします。
事件とも事故とも見られる状況で、死亡していた男。だが身元がわかるものは身に着けておらず、ポケットには月見と呼ばれる花札が。捜査の過程は穏やかな文体で淡々と進められ、刑事たちの心構えをそのまま表しているようで、読み手が慌てることなく事件の謎に集中して読むことができる。すっきりとまとまり、安定して読める警察もののミステリー。一点の曇りない真相を、あなたは見抜けるか。
「刑事課強行犯捜査係長」こういう単語がさらりと出てくるだけで安心します。どうしても警察小説となると、色々知識が必要になります。そうした下地があって初めて現実感のある物語となるわけで、ここは外せません!もちろん、きっかけとなる事件も魅力的であり結末に至る事実や推論も面白いです。そして、短編ならではの読みやすさ!読むしかないでしょ!
飾らず、写実的。それでいてハラハラとさせられるのは、確かな現実の手触りが描かれているから。お勧めです!
その新たな知識に興味脳は歓喜します。それでいて穏やかな文体とテンポの良い流れ。そして意外な結末。刑事物短編の秀作です。ぜひご一読を。