第6話
いつも通りの放課後、、、
「よし、今日は新規メンバー、S君と星梅半君のボランティアだね!」
イルは前田が広げた模造紙を指す。
「なあ、S、お前は俺と同じ趣味で良かったのか?」
「ああ、せっかくお前と一緒の部活に入ったんだし、お前と同じ趣味を探すのも良いかもな、って思ってさ」
俺たちはビル街にポツンと存在する小ぶりな公園にやって来た。
「それじゃあ、みんなでゴミ拾いです!」
前田の一声で俺たちは各々見つけたゴミを拾っていく。
「ふむ、タバコの吸い殻が多いな」
「ジョー、こっちは空き缶が散らばってるぞ」
数十分後、、、
「よし、こんなもんだな」と俺。
「良いことをすると心なしか気分も良いな!」とジョー。
俺たちはゴミ拾いを終えると部室に戻るのだった。
帰り道、、、
「へい、いらっしゃいいらっしゃい!万病に効く水だよ!今なら1リットルたったの5000円!」
明らかに怪しい青年が明らかに怪しい水を売っている現場に出くわした。
「おい、お前!」
ジョーは青年に詰め寄る。
「今すぐこんなことはやめて真っ当なやり方で、、、」
「おいおい、この水は本物だぜ。嘘だと思うなら試しに一口飲んでみろよ」
ジョーは青年から水の入った紙コップを渡される。
「う、うむ、、、」
ジョーは水を一口飲んだ。すると、、、
「な、なんだ、これは!?体に染み渡り、一気に元気になるのを感じるぞ!」
「へへ、でしょう?」
その光景を見ていた前田は側頭部のスイッチを押す。
「、、、あなた、能力がありますね?」
「お、分かるか?そういうお前もナンバーズだな?もしかしてお前ら全員ナンバーズか?」
聞き慣れない単語に俺たちは首を傾げる。
「詳しい話はうちでしようか」
青年に連れられ、俺たちはビルの一室にやってきた。
「改めてようこそ。俺のナンバーは万病を癒す汗などの体液。癒田健二(いだけんじ)っていうんだ。よろしくな」
ま、まさか、さっきジョーが飲んだ水にもこいつの汗が、、、
「ねえ、ナンバーズって何ですか?私たち初めて効く言葉で、、、」とイルは癒田に問いかける。
「おや、知らないのか?俺たちのような能力を持つ人間をナンバーズといって、その能力はナンバーと呼ばれるんだ。ちなみに能力を持たない人間はゼロっていうようだな」
「それはそうと、さっきは疑ってすみませんでした!まさか本当に万病に効くとは、、、」とジョーは癒田に謝罪する。
「いやいや、分かってくれればいいさ。俺もこの商売は一見怪しいかも、って思ってるからさ。ところで最近とある集団が暴れてるらしいんだ。超霊団(ちょうれいだん)っていうんだけど、知ってるか?」
「いや、知らないな。どういう集まりなんだ?」と直。
「奴らは全員がナンバーズで組織されたナンバーズのための集まりだ。この世界にいる人間はナンバーズだけでいいって言って、ゼロを根絶することを目的としているらしいんだ」
「そ、そんなの暴論じゃないか!ナンバーズでもゼロと共存できるはずだ!」と俺は憤る。
「いや、自分の能力を悪用されないようにっていう大義名分があるらしい。奴らの言ってることにも一貫性はあるが、確かに無茶苦茶だよな」と癒田も同意する。
「お前たちも気を付けろよ。いくらナンバーズでも仲間にならない人間は容赦なく殺す集団だ。俺も何回か目をつけられたことがあるんだ。この商売も見つかったら場所を変えるさ」
俺たちは色々教えてくれた癒田に俺を言い、部室への道を辿るのだった。
その日の部室にて、、、
「超霊団か、放っておけないな。話し合いを試みることを諦め、暴力で解決しようとはな。なあ、みんな、俺たちでなんとか出来ないだろうか?」
「いやいや、流石に無理があるだろ、ジョー。相手は大人で、しかも自分の能力を容赦なく人に向けるような連中だろ?俺たちが出向いたところで、、、」
ドーン!!
俺たちが話をしている最中に、突然外の方で爆発音がした。
「い、一体何でしょう!?」
前田が部室の窓を開ける。
「ちょっと、あれ、あそこにいるのって癒田さんじゃない?」
イルの指差す方に、男に担がれた癒田の姿があった。ぐったりしていて意識がないようだ。まさか、噂の超霊団か、、、?
「おい、お前たち!ナンバーズだな!?悪い事は言わない、今すぐ俺たちの仲間になれ!」
部室の扉は開け放たれ、3人組の男が入ってきた。俺たちの運命は突然狂い始める。
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