後編 底辺冒険者更生の道
第14話 厳しい世界で生きております
◇
【ラクシア】
東に位置する『王国』。そして西に位置する『帝国』。南に位置する『皇国』。北に位置する『魔法国』がある。
他にも有名な場所が数多くあるが「ラクシア」の世界はこの四カ国で成り立っている。
王国はボールス達がいるルクセリアの街から東に位置する場所にある。過去に『勇者召喚』というモノを行ったという文献が残されている。
帝国は軍事基地や武力を発展させている国。なんでも徹底した「実力主義国家」とか。『奴隷制度』と呼ばれるものもあるが昔より軟化され、奴隷達も他種族も関係なく住みやすい環境に変わった。
皇国は神や宗教を信じる国。その中でも『聖女コルデー』や『教皇ナーサリー』は「神」として崇められているとか。太古から存在する皇国の守り神『皇龍』の存在も合わさり皇国民は豊かに過ごせている。
魔法国は「魔法」で成り立っている国。主に「魔人族」と呼ばれる褐色の肌と赤髪が特徴の「人間」と似た種族が多い。「魔人族」は魔力に精通していて魔法に長けている種。
国と国同士は今から1000年前に和平が結ばれ、この1000年間戦争という戦争は起きていない。たまに種族間差別は見られるがそれも極一部。
「人」や「魔人族」以外にも「エルフ」「ドワーフ」「キャットシー」などなどファンタジーでお馴染みのキャラクター達がこの世界ラクシアにいる。ボールスが住むルクセリアにも数は少ないが他種族が住んでいる。
ファンタジー世界の敵役代表の「魔族」はいない。「人」の敵は総えて自然・災害・魔物になる…一部例外はあるが。たまに自然界又ダンジョンで『
【
自然界やダンジョンで魔物が異常発生、繁殖。興奮、恐怖でその場に留まらず一斉に動き出す現象。
現在は自然界で魔物を狩る冒険者の『野良狩り』。
そんな中この男もせっせと魔物を倒し『
「――ほりゃっ!」
「うごぉっ!?」
棍棒のスイングがゴリラの魔物の顔面にヒットする。狙い所が良かったのかゴリラ…通称「ウッドコンガ」はボフッという音と共に消滅し赤色の魔石が残る。
「さ、ゴリラ狩りも飽きて来たから違う魔物でも狙うかね」
右手に持っていた少し色の変わった灰色の棍棒を肩に担ぐ。中腰になると地面に転がる魔石を手に取り腰にあるポーチの中に魔石を収納。
この男は地球の日本という世界から突然ここラクシアに気付いたらいた「佐藤歩」。現「ボールス・エルバンス」という見ず知らずの男の体に憑依した悲しき転移?転生?者。色々な不幸が重なりソロ冒険者として生活中。
今いる場所は前回のような初心者用のラグの森ではなく北側にある「ニドナの森」。ニドナの森は中級者用の『野良狩り』スポットとして有名だ。
「見たくはないけど、見たくないけど。見なくてはいけない…ちらり」
魔物の討伐を終えた俺はそんなことを呟きながら自分の右手首に付けている腕時計――通称『善悪計君一号』の画面に表示されている数字を見る。
「−3304」
「おっふ」
その信じられない数字を見て口から空気を漏らしへこたれる。
この世界に来て聖女ことコルデーと会ってから二週間が経った。冒険者にも慣れ
落ち着いた後も頭を抱えた。本当は夢であって欲しかったと…ただ、事実であり「ボールス・エルバンス」という男が抱えていた「多額の借金」の返済。ルクセリアの住民達の信用・信頼を取り戻す。また聖女コルデーからの試練「善行」を行うことなどを頑張っている最中。
転生した翌日、迷惑をかけてしまった人々に謝りの挨拶に向かった。本当は元の「ボールス・エルバンス」として生活をして自分の罪を少しずつ償っていく運びだったが…聖女コルデーの介入により「ボールス・エルバンスは改心しました」と告げられた。聖女の言葉を信じる人々は「やっとあの嫌われ者が改心したか」「流石聖女様!」「早く借金返せ」などなど言われた。
「……」
高台で演説していたコルデーがこちらに向けて「テヘペロ」と可愛く舌を出していたのが印象的だ。
可愛くなく、もしブスだったら群衆の目なんて関係なく殴りつけていたと思う…ま、そんなこんなもあり晴れて「ボールス・エルバンス」真人間の道が始まった。
今では
正直悪いとは思っているが昔のことだし、今の今まで冒険者のランクが上がらなかったのは自分の実力が伴っていないからだと思う。それも
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