6-8

 私達は冬休みを迎えていて、岬のとこでクリスマスパーティをやろうと誘われていた。


「碧 岬んちでクリスマスパーティやろうってー 灯ちゃんも碧に来て欲しいんだって」


「あぁ ライン来てたなぁー」


「そう 返事したぁ?」


「いいやー ほったらかし だってよー 26日だっていうじゃないか もうクリスマス終わってるし」


「なんだけど あなた それで 返事もしてないのぉー?」


「だなぁー 行くの なんだか 面倒じゃん」


「バカ 灯ちゃんは碧に食べてもらいたいからって 何か作るって 張り切ってるみたいよ 直ぐに 返事しなさいよ! 楽しみにしてますって」


「なんでだよー 家で寝てるほうがいいよー まぁ あいつがサンタで短いの着た恰好でもしてくれるんなら 良いけどな」


「灯ちゃんは碧のオモチャじゃぁないんだからネ あんなに碧のこと思ってくれてるのにー」


「あのなー だからぁー あいつは苦手なんだって あんまり関わりたくない」


「何言ってんのよ まだ どこかの中学生のこと思ってんの? 灯ちゃん 良い子じゃない 文句言ってるとバチ当たるよ」


 その日、文句言いながらも碧は後ろから付いてきていた。チャイムを押すと灯ちゃんが出てきて、肩の部分がフリルになっている花柄のワンピースでサンタ帽を被っていた。そして、少しお化粧もしているような・・。


「わぁ 相変わらずきれいわねー 灯ちゃん」


「うふっ お姉ちゃんがお化粧してくれたの 碧君も来てくれてありがとう」


「あぁ なんだよー その塗り絵みたいなのは」


「ちょっ ちょっとー 碧! そんな言い方ってー」


「いいの ミミちゃん いつも碧君って こんな調子だから 慣れてる」


「へっ 灯は そんなことしなくっても もともと美人だよって ナ」と、言ってしまった自分でも照れ臭かったのか外を眺めていた。 


 ダイニングテーブルに通されると、岬がホットプレートを真ん中に置いて、お皿とかの準備をしていた。


「いらっしゃい 碧君 久しぶりね 又、背が伸びた?」


「こんにちわ ちょっとだけ伸びたカナ でも もう止まったみたい」


 灯ちゃんがバタバタしてると思ったら、皆にまだチーズがグツグツしてるグラタンを並べてきた。そして、碧に「コレっ」と言って、サンタ帽を差し出していた。


「なんだよー コレって」


「ウン お揃いネ」と、ニコっと笑って、碧に被せようとしていた。


「よせよー 何で こんなのー お揃いなんだよー やだよー」


「いいじゃぁ無いの せっかく 灯ちゃんが用意してくれたんだよネェー 文句言わないの!」


「いいんですよ 碧君って 文句言いながら 結局 私の言うこと、聞いてくれるんだからー」


「それはなー ・・・ 無視すると・・・ 仕返しが怖いから・・しょうがねぇなー」と、ぶつぶつ言いながらも、帽子を被っていた。そして、グラタンを食べだして


「うーん うまいなぁー これ」


「そう 灯が碧君に食べてもらうんだって 朝から奮闘してたみたいよ 中のミートボールも自分でこねてネ」


「お姉ちゃん 奮闘だなんてー これ スパークリングワイン アルコール入って無いからね」と、皆に注いでいた。それから、メリークリスマスと乾杯して、プレートでパンケーキを焼き出した。


「なぁ アイスクリームとかフルーツしか無いの? 乗っけるやつ」と、碧がテーブルの唐揚げをほおばりながら言ってきた。


「あっ そうか 碧君 甘いのって好きじゃぁないもんネ」と、灯ちゃんが冷蔵庫からベーコンを取り出してきて「これ 好きなようにして乗っけて」と、碧の前に置いていた。


「灯ちゃん ゴメンね こんな我儘な奴 ほっておけばいいのよ」


「いいんだぁー いつも 私の我儘 聞いてくれてるからー」と、言う灯ちゃんだったが、碧は知らんぷりして、ベーコンを焼いてパンケーキに乗せていた。


 その後も、ぶつくさと言っている碧を誘って灯ちゃんはオセロゲームに付き合わせていた。岬と私は、その間に部屋に行って、久しぶりに唇を合わせていた。


「ねぇ 碧君は灯のこと関心無いの?」


「うーん どう思ってるんかなー 不愛想だからね あいつネ 他に、好きな女の子居るんだよネェー それも中学生 ヘタな誘い方したから、警戒されて逃げられて、それっきりなんだけど これって 内緒だよ 灯ちゃんにも」


「へぇー そうなんだ ふぅーん 天下のミス 一女のこと振り回すってすごいネ まぁ 灯も 碧君ってチャラチャラしてないから好きなんだって言ってたけど」


「碧も 灯ちゃんのこともまんざらではないようだけど 良い子だもん でも どうなるかねぇー ねえ、岬のとこって 授業進んでるんでしょ?」


「そうだね 介護食でね 今までは 飲み込みやすいもの中心だったけど 栄養成分も考えて 認知症を遅らせるようなものとか筋力を取り戻すようなものを取り入れる実習もやっているよ」


「そうかー 私なんて 理論ばっかーで 今までの事例の勉強ばっかー」


「まぁ まぁ それも大切なことじゃない? まだ 1年だよ 焦らずにね」


 私達は、階下の二人から大声が聞こえてくるまで、抱き合ってお互いの唇とかを吸いあげていたのだ。 

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