第37話「動画配信者になろう!?」
「やっぱり菜々美ちゃんとしゅーくさんのバカップルっぷりは面白いですねぇ~♪ こういう路線で売り出すのもありかもしれませんねぇ~♪ こうなったらしゅーくんさんもついでに芸能界デビューしませんか~? もうここまで名前が知れ渡っているのなら、いっそこの状況を逆手にとるのもありかと~♪」
そんなことをしたら菜々美のファンから刺される!
というか、俺が芸能界デビューなんて無理がありすぎる!
「そうだよ、しゅーくん! わたしったちのラブラブっぷりを全世界に発信しようよ! あっ、そうだ! 今流行の動画配信者になろっかー!」
「いや死ぬから! 俺絶対に菜々美のファンに殺されるから!」
菜々美のような異常な強メンタルと一緒にしないでほしい。
絶対に毎日のように誹謗中傷されて殺害予告とか爆破予告とかされてしまう!
「……実は……動画配信には……瑠莉奈も興味がある……」
「それはいい考えかもしれませんねぇ~♪ 菜々美ちゃんの暴走のせいで地上波での起用は難しくなりましたから~。動画配信ならば、多少炎上してもいいというか~、むしろ炎上したほうが話題になってアクセス数増えますしね~」
さすが大手芸能事務所の敏腕マネージャ神寄さん。商機は逃さないってことか。
でも、確かに……菜々美が地上波に出演するたびに放送事故リスクがあるんじゃ、番組制作側も使いづらいだろう。あと、いきなり俺への愛を叫び始めるというのは俺にとってもリスクである。
そして、今これだけ注目を集めているタイミングで動画配信を開始するなら、すごい視聴者数になるだろう。
「これは思わぬところで、これからの方針が決まりましたぁ~♪ ちょうど弊社としても動画配信系アイドルについて考えていたところなんですよぉ~♪ 菜々美ちゃんの地上波での謹慎期間の有効活用と瑠莉奈ちゃんのデビューを兼ねて動画配信はとっても面白そうです~♪ これならしゅーくんさんも学業と両立しながら活動できるんじゃないですかぁ~♪」
「いやいやいやっ! ちょっと待ってくださいっ! 話が急すぎますって! 瑠莉奈どころか俺まで芸能活動なんて! せめてマネージャーにしてください!」
ほんと、神寄さんは強引だ。
俺みたいな陰キャを映像に流すなんて、それだけで放送事故だ。
「……おにぃ……瑠莉奈は楽して稼ぎたい……」
そんな無表情でダメ人間発言をされても……。
兄としては悲しい。でも、俺も楽して稼ぎたい。
……って、俺たちダメ兄妹じゃないか。
「大丈夫! 瑠莉奈ちゃんなら絶対に人気アイドルになれるよー! そして、しゅーくんもいいツッコミ役になれるってー!」
菜々美は両手の拳を固めて後押しする。
「ぶひぶひぃ! 僕も保証するよ! 瑠莉奈ちゃんかわいいよ瑠莉奈ちゃん!」
萌豚社長から保証されても不安になるだけだ!
むしろあんたは不安原因のひとつだ!
「若さは大いなる武器ですからねぇ~♪ 早ければ早いほどチャンスを生かすことはできますよぉ~♪ 現役女子高生動画配信者というだけで大いなるアドバンテージになると見てます~♪ しかも、今話題沸騰の越草修人の妹ともなれば~♪ あと、しゅーくんさんも菜々美ちゃんたちの精神安定的に欠かせない存在です~♪」
「ちょ、ちょっと待ってください、さすがに話が大きくなりすぎというか……」
「ふふふふ~♪ まあ、考えておいてください~♪ それじゃ、時間もおしてますし次の謝罪場所へ行きましょう~♪」
俺たちは神寄さんに連れられて、次の会社へ向かったのだった……。
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