決着の行方

ガギンッ!!!

ザザザッ


激しいぶつかり合いにより、二人に距離が出来た。


「ハァハァ、しぶといじゃねぇか?そろそろ諦めたらどうだ?」

「はぁはぁ、そちらこそ息が上がっているじゃないですか?早くギブアップして下さいよ」


お互いに軽口を叩きながら、体力を少しでも回復させようとしていた。


『そろそろマジで限界だな。次で決める!』


呼吸を整えながら剣を強く握った。

レグルスもバルドの目を見て決めるくると感じて、剣を構えた。


「行くぞ!!!!」

「こちらこそ!」


ダッとお互いに駆け出した。お互いに渾身の一撃を繰り出す!


「うぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」

「はぁぁぁぁあああああ!!!!!」


キンッ!!!


二人の姿が交差した。

ジャンヌも傭兵達も生唾を呑んで見守った。


ドサッ

レグルスが地面に倒れた。


「レグルスーーーーーー!!!!!」


ジャンヌは駆け寄ろうとしたが───


「み、見事だ。レグルス……」


パキッン

バルドの剣が折れ、バルド自身も遅れて倒れた。


「あ、相打ちなのか?」


静かな静寂に声が響いた。


「バルド様!!!!」


爆発音を聞き、大急ぎで駆け付けたガルムだった。


バルドを助け起こしてスキルを使った。


『英雄の進軍』


このスキルにはリジェネーションの効果があるからだ。しかし、バルドは肩から胸に掛けて斜めに斬り割かれており、ありったけの回復ポーションを掛けても止血が限界であった。


レグルスも腹を斬られており、お互いの仲間が戦いを忘れて治療に当たった。


「ミリア!レグルスはどうだ!?」

「大丈夫です。傷は深いですが、致命傷ではありません。私の回復呪文で助かります」


ジャンヌは治療師ミリアの言葉にホッと胸を撫で下ろした。


ザッ!


「何のようだ?お互いの神託者が倒れた今、お前に構っている時間はない!」


ガルムは拳を強く握り締めながら頭を下げた。


「頼む!その治療師にバルド様の治療を頼みたい!」


土下座をしながら懇願した。


「ふざけるな!どうしてお前達の首領を助けなければならない?お前達の首領が倒れ、これで戦争は終わりだ!」


ジャンヌは剣を抜いてガルムに突き付けた。


「…………待って下さい。そのバルドさんを助けて下さい」


ジャンヌは驚き後ろに視線をやるとレグルスがそう言った。


「何を言っているんだレグルス!せっかく敵の首領を討ち取ったんだぞ!?」


何をバカな事を言っているんだと避難したが、レグルスは静かに話した。


「それです。バルドは死なせてはダメなんです」

「どうしてだ!」


他の神炎騎士団の者達もザワザワと囁きあった。


「バルドはヴァイキング国のトップとして絶大な人気があります。もし、戦力を残したまま死なせると、他の兵士達が最後の1人になるまで死にものぐるいで襲って来るでしょう」


なっ!?


本来は敵のトップを倒せば戦争は終結するのが普通である。まさか、主君の仇を討とうと最後まで戦うと言う忠誠心までジャンヌは考慮していなかった。


レグルスはミリアにお願いしてバルドの治療をさせた。


ジャンヌもレグルスの言葉に頷くしか出来なかった。



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